パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女の映画専門家レビュー一覧

パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女

ワケありの荷物を届ける特殊配送会社「特送(とくそう)」の天才的ドライバーを主人公に描く痛快カーアクション映画。運び屋のウナはアクシデントで賭博ブローカーの息子と大金が入った貸金庫の鍵を抱えてしまう。悪徳警官、サイコパス、さらには国家情報院までが彼女らを狙い、命がけの追走劇が始まる。「パラサイト 半地下の家族」でソン・ガンホの娘役を演じたパク・ソダムが女運び屋ウナを、また「脱北」の過去をもつウナが命がけで逃がそうとする少年・ソウォンには、同じく「パラサイト 半地下の家族」で金持ち一家の息子役を演じたチョン・ヒョンジュン。監督は「影の殺人」(09)「キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち」(16)のパク・デミン。
  • 映画評論家

    上島春彦

    市街を実際に使用したカーチェイスがさすが韓国。日本ではこうはいかない。欠点はどこを切ってもどこかで見たような物語ということで、ぐっと点が落ちる。主人公ドライバーが脱北者というのが中盤から活用され、ここはグッド。悪役の正体も、意外じゃなきゃいけないのだがそうでもない。結構ある線で、脚本家の計算違いだ。最大の問題はやはり計算違いか、演出の調子がバラバラで今一つ乗れないこと。ユーモラスに行くか、あくまでダークに迫るか、どっちかにしてほしかった。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    女性アクション映画好きとしても最高峰と称していいほどすべてがハイレベルな一本。カーアクション自体も十分に魅せるが、そんな主軸であるダイナミックなアクションと同時に、少年がお漏らししたズボンをそっとカバンで隠すショットや、少年が母なのではと言う女性のタバコを持つ手の微かな揺れ動きを捉えたショットなど、細部までこまやかに作り込まれた繊細さを持つ映画でもある。終盤、主演のパク・ソダムの悲しみから怒りへの感情の変化を一瞬の表情で伝える芝居も素晴らしい。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    同じく孤高の凄腕ドライバーが主人公であった「ドライヴ」や「TAXI」シリーズなどの影響を感じつつ、後半にかけての主人公と少年の擬似母子的関係性はカサヴェテスの「グロリア」を思い出した。カーアクションはハリウッド・クオリティに遠からずでなかなか見応えがあり、何よりも韓国の街には坂がある。サンフランシスコやローマを例に挙げるまでもなく、高低差のある街を舞台にしたカーアクションはいつだってスリリングで、われわれに映画的満足を保証してくれるのだ。

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