ハッピーニューイヤーの映画専門家レビュー一覧

ハッピーニューイヤー

「猟奇的な彼女」「ラブストーリー」などの恋愛映画の名手クァク・ジェヨン監督が初めて群像劇を手掛け、韓国の豪華スターとともに贈るロマンティック・ラブストーリー。クリスマスの飾り付けが美しいホリデームードに満ち溢れた高級ホテル〈エムロス〉を舞台に、14人の運命の恋がスパークする。出演は『私たちのブルース』のハン・ジミン、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のイ・ドンウク、『椿の花咲く頃』のカン・ハヌル、『天気がよければ会いに行きます』のソ・ガンジュン、「EXIT」のユナ(処女時代)、『結婚白書』のイ・ジヌク。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    タイトルやあらすじから想像される内容そのままの、高級ホテルを舞台に幅広い世代の美男美女が繰り広げるこれ以上はあり得ないほどにベタでハッピーな物語は、意外性こそ全くないものの十分に楽しめる。なかでもホン・サンスの新たなミューズとなったイ・へヨンがコメディエンヌとして披露する快演は見もの。カップルの数を多少減らせば2時間に収まったのではという疑問は残るが、尺の問題さえ気にならなければ、年末年始の無難なデート映画としては自信を持って薦められる一本だ。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    クリスマス、そして大晦日のホテル舞台に、様々な人たちの恋の模様を映すクリスマス群像恋愛映画だが、特にホテルの男性CEOと女性契約社員のパートは、女性を権力勾配の下に位置させ、性格は純真無垢であり、少し抜けているけど、そこがチャーミング云々という、定番的な描き方を無批判に繰り返しているように感じてしまった。ほかのエピソードでもベタな関係性や展開ばかりが目立ち、また男性同士で人工呼吸をするプールのシーンを揶揄するような演出もかなり疑問が残る。

  • 文筆業

    八幡橙

    「猟奇的な彼女」から、既に20年以上経っていることに、改めて驚く。クァク・ジェヨンが幅広い人々の悲喜こもごもを華やかに、軽やかに描くグランドホテル形式の初春映画。歌手のマネージャーに扮するイ・グァンスのエピソードには、「猟奇?」のチャ・テヒョン名場面を自らパロディ化する遊び心も。笑いパートを一身に請け負う自殺志願者役のカン・ハヌルが見せる恋模様も印象的。ゆるさ全開ながら、それでこそお祭り映画。暗いご時世、「狸御殿」シリーズを味わう気分で、お気楽に。

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