奈落のマイホームの映画専門家レビュー一覧
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米文学・文化研究
冨塚亮平
「なまず」にも登場したシンクホールを中心に持ってくる設定はとにかく面白く、密室ものや脱出ものの定型をある程度なぞりつつも、十分に新鮮味のあるエンタメに仕上がっている。だが、特に穴が出現するまでのダラダラした展開と全く笑えないギャグの数々が続く序盤は、後半の伏線として生きてくる部分もほとんどなく、非常にもったいない。なかでも隣人マンスの変人ぶりをやたらと強調する小ネタの数々は、後半とのコントラストを強調したかったのかもしれないが、いずれも冴えない。
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日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰
降矢聡
ご近所トラブルコメディかと思いきや、実はディザスタームービーという展開には驚いた。しかしご近所感は最後まで手放さず、ディザスターご近所コメディというあまり見たことのない映画になっていることにまずは感動。ディザスター描写はかなり安っぽく、臨場感は皆無だが、映画はその後も進化していき、地底遺跡探検ものを経て、最終的には潜水艦映画へと変貌を遂げる。そうして、忘れかけていた頃に「きちんと挨拶する子」というフリを使った渾身のギャグが炸裂。爆笑しました。
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文筆業
八幡橙
原題は、映画「なまず」でもキーワードになった“シンクホール”。念願のマイホームが、突如地下深く沈み込む大災害を描く映画……には違いないが、ベースはあくまでもコメディ。「悪いやつら」が忘れられないキム・ソンギュンと今回もハマり役のチャ・スンウォンが演じる住民二人を核に、家庭や職場の人間関係もしっかり盛り込んだ群像劇だ。前作「ザ・タワー」では微妙だったパニック+笑い+ドラマの均衡が、笑いに基軸を置くことで程よく調和。力の入った画作りにも目を惹かれた。
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