夢半ばの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
20代の若者が映画作りをテーマにして、半径5メートルの同棲相手との関係や仲間の肖像を、自分で脚本を書き、主役を演じて、フィックス長回しの画をひたすら繋いで135分の映画にする。タイトルは「夢半ば」。作中で準備中の作品のタイトルは「まだ行ける」。本当に不思議に思うのは、どうして他人がそこまで「自分」に興味を持ってくれると信じられるのだろう。仲間に観せるための映画ならばわかる。しかし、この主人公は自分が映画で「食えてない」ことを繰り返し嘆くのだ。
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映画評論家
北川れい子
長い。長過ぎる。いくら夢半ば、焦らず、めげず、諦めず、がモットーだとしても、冗漫な場面が多すぎる。映画が撮れない、何を撮ったらいいのかわからないという、自分の人生をまんま映画に仕立てた安楽涼の監督、脚本、主演のプライベートフィルム。町を延々と歩いたり、彼女や友人とのとりとめのないお喋りなど、確かに当人の日常なのだろうが、現実に対してはほとんど受け身で仲間たちも然り。そんな自分たちを肯定し、そっくり映画にしてしまうとは、安楽涼、かなりしたたかだ。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
かつて聞いた脚本執筆の訓練法・書き出すための呼び水、というので日常をずっと全部書き出していくというのがあった。起き出して家を出て歩いて、を全部書いてみろと。それとは違うかもしれないが、日常を見据え、どんどん撮影回すことから始める可能性を本作に感じた。とりとめなさを補って余りあるリアルさや、歩いてゆく人物(監督自身)の背を追う画に乗る自意識、そのやむにやまれずやってる感は好きだ。この漂いはいずれ凝縮して発光する恒星となるのではないか。
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