君だけが知らないの映画専門家レビュー一覧

君だけが知らない

「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」など、ホ・ジノ監督のもとで脚本を手掛けてきたソ・ユミンによる監督デビュー作。事故に遭い記憶を失ったスジンは、夫の献身的なサポートで日常生活を取り戻し始めるが、幻覚で未来が見えるようになり……。出演は「ワーニング その映画を観るな」のソ・イェジ、「死体が消えた夜」のキム・ガンウ。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    主人公の女の人が何か事故にあって、記憶喪失になるところから話が始まる。彼女の身の回りでどんどん奇妙なことが起こっていく。彼女がエレベーターに入っていくだけでなんか怖い。何が起こるか分からないワクワクがある。いくつもの伏線が張り巡らされていて、え!そうだったの!の連続。そのうち、バカにされている気がしてちょっとムカついてくる。作り手は全部知っていて、見ている方は何も分からないのだ。面白いけど、なんだよそれ!卑怯だよ!という気持ちにもなる。

  • 文筆家/俳優

    唾蓮みどり

    主人公スジンとその夫と名乗る男。ふたりが一体どんな関係なのか、男は一体どんな人物なのか、スジンの失われた記憶を紐解きながら物語が展開される。同じマンションに住む女の子たち、そしてスジンに見えてしまう「ちょっと先の未来のできごと」に関する謎が明かされていくところが、なるほどと思わず唸らされる。スジンと夫が暮らす家が、モデルルームのような生活感のない部屋なのがとても恐ろしさを感じた。友人女性や刑事の存在感が薄くてちょっと惜しい。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    配給・宣伝会社からラスト30分の内容については口を噤むよう言われている。詳細は控えるが、「ガス灯」(44)やら「断崖」(41)やらを想起させる前半のサスペンスはメロドラマをお膳立てするための前座にすぎない、ということだ。冒頭で、記憶をなくした妻が夫に訊いている。「私に告白したのはいつ?」「告白はできなかった。結婚式の日も」車椅子に座る妻とそれを押す夫。同じ方向を向いた2人が切り返しで撮られる。その意味が分かるのはすべてを見終えてからである。

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