ザ・コントラクターの映画専門家レビュー一覧

ザ・コントラクター

元最強特殊部隊の請負人(コントラクター)が、世界を揺るがす陰謀に隠された真実を暴くリベンジ・アクション大作。国家に忠誠を誓ったエリート特殊隊員ジェームスは怪我を理由にリストラされ、家族を養うために破格の報酬で民間軍事組織から危険な依頼を受けるが……。「スター・トレック」シリーズのクリス・パインが、米国特殊部隊グリーンベレー出身の軍事アドバイザーによる徹底的な訓練に耐え、鍛え上げた肉体とリアルなアクションを披露する。共演は「最後の追跡」でクリスと共演したベン・フォスター、『24 -TWENTY FOUR』シリーズでおなじみのキーファー・サザーランド、「おみおくりの作法」のエディ・マーサン。「ジョン・ウィック」シリーズの製作陣が、「The Nile Hilton Incident」(原題)がサンダンス映画祭ほかで賞賛を浴びたストックホルム出身のタリク・サレーを監督に迎えた。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    元軍人が生活のために危険な仕事へと身を投じざるをえない状況をリアルに描写したいという意図はわかるが、ミッション突入までの前置きはもう少し短くできたはずだ。また主人公が警察などに追われる展開は、一定の緊張感こそ持続していたもののさほど新鮮味はなく、やや下水道に頼りすぎという印象も。詳細や内容を吟味する余裕などないという事情があるにしても、命がかかっているはずの仕事における元軍人たちのリスク管理の甘さや決断には首を傾げざるを得ない場面が多かった。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    クリス・パインの治療能力の高さに目を見張る。自らを治療する数々のシーンもだが、特に両者ボロボロのなか、仲間のベン・フォスターに輸血までして蘇生させるシーンには驚いた。一方で、ストーリーの隠された真実的な面白みや驚きは弱く、黒幕の動機についても、その器の小ささは気になった。また、主人公は最初の殺しをとても躊躇しているように見えたのに、街中での銃撃戦で、一般市民が思い切り撃たれて死んでいくシーンは、その素っ気なさにかなり動揺してしまった。

  • 文筆業

    八幡橙

    極めてストイック。過度の説明も、過剰に盛り上げる音楽も徹底して排し、潜行するかの如く静かにただ、特殊部隊を追われた男が流れ着く“請負人”としての過酷な任務を描き出す。淡々としつつ、先が読めぬ展開は終始スリリングかつミステリアス。大事な局面で登場するエディ・マーサンの盤石さ含め、重厚な手触りが印象的。退役軍人を待ち受ける不遇が背後にあるとはいえ、アクション映画らしい胸のすく痛快さももうちょっと欲しかった。クリス・パインの抑えまくった演技はいい。

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