1950 鋼の第7中隊の映画専門家レビュー一覧

1950 鋼の第7中隊

チェン・カイコー、ツイ・ハーク、ダンテ・ラムが共同で監督を務め、朝鮮戦争を題材にアメリカ軍率いる国連軍と中国軍が直接戦った1950年の「長津湖の戦い」を、壮大なスケールで描いた戦争スペクタクル巨編。中国人民志願軍が北朝鮮にわたり、極寒の過酷な環境のもと戦況を逆転へと導いた奇跡にスポットを当てる。主演の千里を「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」のウー・ジン、弟の万里を「少年の君」のイー・ヤンチェンシーが演じ、「迫り来る嵐」のドアン・イーホン、「見えない目撃者」のチュー・ヤーウェン、「マンハント」のチャン・ハンユーなど、錚々たる中華圏トップスターが出演。製作費270億円を掛け、映画スタッフ1万2千人、エキストラ7万人、450社に及ぶVFXスタジオが参加、中国歴代興収1位の1130億円を叩き出し、2021年世界興収2位を獲得した。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    冒頭、次から次へと人が集まってくる感じにワクワクした。こいつらがこの後どういう活躍をするのか? 予感に震える。いざ戦闘になると、一気にテンションが上がる。いっときも目が離せない。第7中隊のキャラクター設定も際立っていて、それぞれに背景と見せ場を用意してある。友情と正義と戦うしかない悲しみと。ユーモアも残酷さもある。大味じゃない。丁寧な描写と迫力に唸るしかない。監督が三人もいる。ツイ・ハーク&チェン・カイコー&ダンテ・ラムって何なんだ。贅沢。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    鳴り止まない銃声と爆音、血が飛び散りうめき声と叫び声が聞こえる。戦争が過剰な音楽で演出される。これが3時間近く続く。画面に映るのは99パーセント以上男性たち。どちらか側に加担した、制限された視点からしか見ることができないなかで、いまこの時代に改めて戦争を描くことについてどう思うのか。スペクタクルだけで押しきって語るのはあまりに無責任ではないだろうか。私は、初めて人を殺した少年の目に英雄性を見出さないし、賛美もしない。簡単に感動なんてしない。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    反米を謳う内容だというのに、できの悪いハリウッド映画の紛い物になってしまう。よくあることだが、これもその1本か。オープニング・クレジットの感じと曲調がどことなくMCU風だと思っていたが、後半に凍った兵士たちが出てきて確信犯かと思い至る。零下40度の極寒の中で敵を待ち伏せし、銃を構えた体勢のまま凍りつき、銅像のようになった中国の志願兵たち。米兵も思わず敬礼する。マーベル映画のどれか忘れたが、エンドクレジットで登場人物を銅像化していたのがあった。

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