MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないの映画専門家レビュー一覧
MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
「14歳の栞」で注目を集めた竹林亮の監督・脚本で贈る、「新感覚オフィス・タイムループ・ムービー」。ある小さな広告代理店では社員全員がなぜか同じ一週間を繰り返していた。絶望の月曜日を迎える彼らはチームプレイで、この無限地獄を無事脱出できるのか。主人公・吉川朱海を演じるのは若手女優・円井わん。いつまでたってもタイムループに気づいてくれない永久部長役にマキタスポーツ。
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脚本家、映画監督
井上淳一
手垢のついたタイムループもので手垢=同種の映画を前提に、そこからの脱出を描くなんて、なかなか憎いことやる。繰り返す日常を会社生活のメタファーにしたところも上手い。タイムループを直属の上司から順に分からせ、一番上まで持っていくのも会社組織を皮肉って面白い。繰り返す日常の見せ方にも工夫があるし、ほぼ知らなかった俳優陣もみな魅力的。しかし傑作になり損ねているのは登場人物の価値観が会社内に留まっているからか。会社なんてクソ喰らえ的な生き様が見たかった。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
月曜の朝に泊まり明けばかり、仕事もせずに精神論をぶつ上司、ピラミッド型の硬直した組織……。時代遅れのクリシェをちりばめたクソ仕事ばかりの職場だが、タイムループからの脱出という共通の目標ができたことで、がぜん活気づく。「同じ場所で足踏みしているような人とは違うんです」という不遜な主人公も成長し、同僚の自己実現に力を貸す。旧来の日本型組織を茶化しつつも、否定せず、愛着をもって描いているところは面白い。いささか湿っぽく、映画的スリルには欠けるけれど。
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映画評論家
服部香穂里
あまたあるタイムループものの構造を分析しつつ換骨奪胎し、違う景色へ導かんとする意欲は買い。モブキャラの逆襲とばかりに、隅っこに追いやられがちな人物の密かな好アシストが地道に突破口を広げるにつれ、各々の個性や力量が発揮されていくさまも、主人公目線な同ジャンルのパロディ的面白みを醸す。ただ、ループのきっかけを生む部長の秘密には唐突な印象は否めず、広告業界のブラックさをさらに突き詰めるなど、ひとつのアイデアで押し切る潔さが欲しかった気もする。
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