ソングバードの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
運び屋の男が、ゴーストタウンを自由に行き来するのが楽しそうだ。みんな家の中にいて、誰とも直接触れ合えない。それぞれの登場人物が徐々にクロスしていく構成が見事だ。隔離された人々の距離感をうまく生かしてストーリーを作っている。ドア越しに触れ合いたくてもできないふたり。彼女を救うため、男はバイクに乗ってあちこち行く。間に合うかどうかのサスペンスにドキドキする。ようやく会えた時の喜び。体と体が触れ合った時の高ぶりがこっちまで伝わってくる。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
COVIDが悪化している2024年の近未来。すぐそこにいるのに、決して会うことのできない恋人たち。それだけ聞くとロマンチックだ。ただ、ウイルスよりも権力を持った人間の怖さを強調したいのか、あまりにチープな悪役っぷりが残念でならなかった。簡単に戦いの物語へと矮小化されてしまう。こうなるともはや、目に見えないウイルスの怖さはただの設定というか、おまけのよう。本来この物語において、ようやく生身の人と人が触れ合う、感動的であるはずのキスシーンが味気ない。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
新型コロナウイルスに対する応答として、こんな手があったかと盲点を突かれた。2024年のLA。致死率56%のCOVID?23が蔓延し、感染すれば強制収容所へ連行、免疫者だけが自由に移動できる。設定だけでわかると思うが、本作はコロナ以前の想像力に支えられている。コロナはディストピアをこういうふうに発想すること自体を一掃してしまったからだ。コロナなんて知らないかのように、ポストコロナを描く。コロナなんかで映画作りを変えてたまるか、とでもいうように。
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