レジェンド&バタフライの映画専門家レビュー一覧

レジェンド&バタフライ

「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が、織田信長と謎に包まれたその正室・濃姫の知られざる物語を木村拓哉&綾瀬はるか主演で映画化。政略結婚で結ばれた信長と濃姫。当初は対立していた2人だったがやがて天下統一の夢を共にし、激動の30年を駆け抜けてゆく。共演は「ムーンライト・シャドウ」の宮沢氷魚、時代劇映画初出演となる市川染五郎。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    芦澤明子のカメラによるリッチな画力も借りて、ここぞという場面ではさすがのインテンシティを発揮している大友啓史演出だが、偽史ものギリギリの創作歴史劇映画で2時間48分はいくらなんでも長い。コメディとシリアスの両方を貪欲に獲りにいくというのは「るろうに剣心」の成功体験からくる方向性なのかもしれないが、信長の人生をふまえるなら中盤以降はシリアスが前景化していくのは容易に予想がつくわけで、最初からそっちに振り切った方がよかったのではないか?

  • 映画評論家

    北川れい子

    話題作とはこのことよ。みんなで鑑賞すれば、イベントに参加したような気分で盛り上がること間違いなし。実際、戦闘場面もエキストラの数もロケ地も精一杯頑張っていて、南蛮文化へのアプローチもそつがない。けれども派手な作りに気を入れ過ぎたせいか、肝心の木村拓哉の信長も綾瀬はるかの濃姫もカラクリ人形並みで、年代ごとに変化する二人の関係も描写不足。そしてあの大掛かりな幻想シーン。大胆さは買うが、愛ゆえの逃避行とは、どうした信長!  話題の尽きない話題作です。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    うつけ者は偽装で、実は野性的な智者の英雄信長。それが男子が好み憧れる信長だろうが本作の面白さは彼がほんとにバカだった設定。そして斎藤道三の娘濃姫が文武両道の女豪傑で彼を使嗾したと。綾瀬はるかが素晴らしい。木村氏はいつもどおりながらそれはあえてのいつもどおりで、そのことで今の世に遅れてない新たな信長像が立ち上がったかも。アクション場面少なく、全体として歴史大胆脚色ラブ(コメ要素もある)ストーリー時代劇。だがこれは爽快さがない難しい映画だぞう。

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