スーパー30 アーナンド先生の教室の映画専門家レビュー一覧

スーパー30 アーナンド先生の教室

世界で絶賛されたインドの教育プログラム誕生に情熱を捧げた男の実話を基に映画化。全国の貧しい家庭から優秀な頭脳を持つ30人を選抜し、無償で食事と寮と教育を与えるという私塾スーパー30を、私財を投げ売って創設したアーナンド・クマールの奮闘を映し出す。主演は「WAR ウォー!!」のリティク・ローシャン。監督を「クイーン 旅立つわたしのハネムーン」のヴィカース・バハルが務める。
  • 映画評論家

    上島春彦

    『ドラゴン桜』にもこのくらいソング&ダンス&銃撃アクションがあったらなあ、と思わざるを得ない。実話ベースといっても割とフィクションでしょ。だって最大の極悪人は当時の文部大臣ではないか。こういうところインド映画は大らかで凄い。日本だったらタダじゃすまないぞ。で、踊りだがボリウッド映画のクリシェより、予備校生が即席で演じる英語劇からぐっと盛り上がる集団(観客含む)パフォーマンスがさすが。私が日頃より尊敬する天才数学者ラマヌジャンの話もちらっと出る。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    キャッチーな歌と踊りをふんだんに詰め込んだ本作は、そこだけ観るならば期待通りにインド映画を堪能させてくれるかもしれない。しかし観終わったあとに残るのは、空虚さだけである。つまるところこの私塾がなぜ驚異的な成果をあげることができたのか、その具体的な秘技そのものに対する驚きや衝撃がない。ただただ大雑把で大仰すぎるメロドラマ的プロットでこの映画の大半の時間がかさ増しされている。題材がきわめて魅力的である分、この調理の仕上がりには閉口するばかりだった。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    いかんせん冗長ではあるが、親のカースト次第で残りの人生が見通せてしまうとか、キャッシュ・ルールズ・エヴリシングとか、ネットの中での世界は日々広がっているのに現実の世界はむしろ息苦しい場所になっているとか、英語を話せないと誰かと即日交換可とか、本作が描くインドの現在に似たような景色はいまやこの星のあらゆる場所に広がっている。この「インド化=中世化」を招いた記号資本主義を叩き潰さんと立ち上がった若者たちによる七色の咆哮におぼろげな未来を見た。

1 - 3件表示/全3件