愛してる!の映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
白石晃士は相変わらず力があるが、得意のPOV形式がエロを語るのに適していたかどうか。撮影者との関係がわからないから、どうして自らの性まで撮らせるか分からない。百歩譲って主人公はいいとして、他の登場人物はどうか。SMやるなら、撮る側撮られる側の関係性の逆転こそやるべき。主人公の履歴や性遍歴が見えないから、SMと同性愛への枷も見えない。それを超える瞬間のカタルシスもない。ロマンポルノはそういうことちゃんとやってたけど。そもそもこれってロマンポルノ?
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
生々しい身体が映っている。観念からの解放が映っている。それだけでロマンポルノに挑戦した意味はあると思う。リアルタイムでロマンポルノを見ていた世代がどうしてもその形式の呪縛から逃れられないのに対し、73年生まれの白石晃士監督は自由奔放に撮りながら、このジャンルの核心をグイっと鷲?みにしている。川瀬知佐子や鳥之海凪紗といった新人女優たちのほとんど素人と思わせるようなリアルな存在感もまたロマンポルノ的。そう、重要なのは考えるより、感じることだ。
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映画評論家
服部香穂里
プロレスと地下アイドルライヴとSMプレイのあいだに、パフォーマーと客との心身密着型エンタテインメントという共通項を見出し、それを大胆に連動させる発想はユニーク。ただ、白石晃士監督の代名詞ともいえる“モキュメンタリー”の手法は、ホラーには有効かもしれないが、常に介在する第三者の目が、人物たちが味わう興奮や快感をダイレクトに伝える上での支障にもなっている。世にも奇妙な“変態讃歌”に大化けする気配漂う企画だっただけに、一考の余地もあったのでは。
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