バッドマン 史上最低のスーパーヒーローの映画専門家レビュー一覧

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

フランス版『シティーハンター』のチームが集結したアクション・コメディ。役者のセドリックがやっと掴んだスターへの切符。それは、ヒーロー映画「バッドマン」の主役。だが彼は撮影途中に事故に遭い記憶を喪失、バッドスーツのまま覚醒する。監督・主演は「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」のフィリップ・ラショー。脇を固めるのは、タレク・ブダリ、ジュリアン・アルッティ、エロディ・フォンタンのお馴染みの面々に加え、「ベティブルー 愛と激情の日々」のセザール賞俳優ジャン=ユーグ・アングラードも出演。ハリウッドのアメコミヒーロー作品をリスペクトし、数々の名場面に笑いを加えて、ラショー流エンタメが完成した。2022年2月、コロナ禍のフランスで公開され、No.1 大ヒットを記録。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ゆるいギャグの連打に、微苦笑が止まらない。そんな面白くないと思うのだが、必死に笑かそうとしているその涙ぐましいまでの必死さに、笑ってしまう。いちいち何かが起きる。小ネタの連続。そこにどれだけのアイデアを盛り込めるか。本筋のストーリーは、シンプルでわかりやすい。ちゃんとヒロインもいて、最初メガネの地味な女子だったのが、トラブルに巻き込まれて、メガネがなくなって、だんだんセクシーになっていくとことか良かった。何も考えずに楽しめる。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    非常に切れ味のあるアクションコメディ。これは文句なしに面白い。記憶を無くして自分のことをバッドマンだと信じ込む役者セドリックが次から次へと自ら面倒な状況を作り出してしまい、翻弄されていく。ハリウッド的な映画の手法を少しずつずらしていくことで、絶妙な笑いを誘い出す。まさにずらしの美学。元カノ・元カレに未練タラタラというエピソードの伏線の回収の仕方にいたってもお見事。このロマンティックなエンディングはちょっとずるいと言いたくなるほどに完璧だった。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    くだらないものに対してくだらないと言うことほどくだらないことはない。しかも、くだらないと言われたくてくだらないことをしているわけだから、それに対してくだらないなどと言ってしまえば相手を喜ばせるだけなのだ。この映画を前に居心地の悪さを感じるのは、そういう循環まで含めてくだらないからだ。異性愛規範に基づく下ネタから配役等に見られる人種的偏見まで、マジョリティの価値体系に胡座をかくさまは単に醜悪に映る。憧れのファレリー兄弟には遠く及ばずと知るべし。

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