リフレクションの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
上島春彦
ウェス・アンダーソン的な画面の極端な正対性を活かした描写だが、こちらの方が効果的。子供の落馬の場面とか。主人公の部屋のガラスの汚れの扱い方も凄い。この汚れは天使の姿なのか、それとも悪魔か。タイトルは具体的にはこの窓の反映を意味している。日常の中の戦場というテーマがあまりに今日的。言葉を失うも設定は8年ほど昔で、そんな頃から両国が戦争をしていたとは知らなかった。撮影機材の進化でピントが遠近同時に合うようになったのがここまで効果的な映画は稀だ。
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映画執筆家
児玉美月
四角い窓がある部屋を映し出したファーストショットは、フレーム内にもうひとつのフレームを設える。窓やガラスを用いた反射のモチーフが繰り返され、いたるところで光が反射するように戦争の傷痕がその地に遍在することを伝えてくる。厳格なムードと神経質なフレーミングによるロングテイクが連なるこの映画は、断片的に絵画を繋ぎ合わせたような形式をとる作品だ。とくに娘の後ろの大きな窓に向かって反射した空だと勘違いした鳥がぶつかるシーンはこの映画の中核であり忘れ難い。
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映画監督
宮崎大祐
頑強なフィックス・カメラによる一枚絵がウクライナの現実を観客として見よとばかりに迫ってくる。しかしこれはあくまでフィクションであり現実ではない。いや現実か。いくつかのシーンにモザイクがかけられていた。己が直面するこの世界の酷薄さを命懸けで表現しようとしている人々の訴えに対して無情にもモザイクをほどこし蓋をするどこかの誰かの感性こそが非倫理的であり野蛮であるということを認めるところからしかわたしたちはウクライナ問題に近づけないのかもしれない。
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