あいたくて あいたくて あいたくての映画専門家レビュー一覧

あいたくて あいたくて あいたくて

「れいこいるか」のいまおかしんじが贈る不器用な大人たちのラブストーリー。一年前に夫を亡くし、タイ料理店を一人で切り盛りする淳子は、偶然の成り行きで家具職人・祐司とメールをやりとりするようになる。それが次第に淳子の寂しさを紛らわせていき……。出演は「オトナの恋愛事情」の丸純子、「修羅の世界」の浜田学。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    冒頭で観客に予想させる熟年2人のロマンスは、しかし一向に駆動することはなく、それぞれのそれなりに複雑ではあるけれどありきたりな生活が、まるで家族や友人の一員のように被写体から近いカメラによって丁寧に描写されていく。日常のやりとりと肉体関係のあっけないほどの近さをこれほど自然に捉えることができるのも、ピンク映画出身のいまおか監督ならでは。個人的にはこの作品世界に魅了される要素は一つもないけれど、的確な尺の短さも含めて欠点らしい欠点がない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    このところ、生活感のある等身大仕立てのいまおかしんじ映画が目立つ。脚本・監督作以外にも、脚本家、監督としての作品があり、さらに 「激怒」では俳優として顔を出している。近々公開の監督作「神田川のふたり」も成り行き狙いの長回し。本作はひょんなことからネットでやり取りをする中年男女のすれ違いドラマで、互いに会ったことはないが、実は彼らは何度も道ですれ違っている。2人をめぐる、どうってことのないリアルなエピソードはこの監督の持ち味なのだろうが、チト食傷。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    丸純子さんの可愛らしさがちょっとジェニファー・コネリー級で衝撃的。二十歳くらいの年の娘がある女性の役ということもはっきりしてるしその年齢相応の様子でしかし可愛い。いまおかしんじ監督作品の日常自然体描写の生活感を生きるヒロインは、監督自身の加齢に応じてだんだん年齢があがってきている感じで、もうこれは本来ポルノ的企画であったとしても、男性が女性のセクシャルさを窃視する、搾取することを越えて、年配のひとの恋愛とセックスを捉えた映画になっている。

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