コンビニエンス・ストーリーの映画専門家レビュー一覧

コンビニエンス・ストーリー

「大怪獣のあとしまつ」の三木聡監督による異世界アドベンチャー。スランプに陥り悶々と悩む日々を過ごす若手脚本家・加藤は、ひょんなことから欲しいものがなんでも見つかるコンビニエンス・ストア“リソーマート”に迷い込み、怪しげな人妻・惠子と出会う。出演は、「ニワトリ・フェニックス」の成田凌、「葬式の名人」の前田敦子、「すばらしき世界」の六角精児、「フタリノセカイ」の片山友希。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    日本のインディーズ映画好きにとって、三木監督といえばこちらの三木聡監督。(内容はまた別の話だが)作品のルックに関しては、三木組そのままで臨んだ「大怪獣のあとしまつ」でメジャー作品にも適応できることを証明していたが、監督自身は本作のような極めて90年代インディーズ映画的なアーティフィシャルなルックとオフビートなノリに骨の髄まで愛着があるのだろう。すべてがチープなこの国にしかもはや存在し得ない、ガラパゴス映画の見本のような作品としか言いようがない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    まったく恐くはないが、かなり底意地の悪いコメディ寄りの怪異譚で、コンビニを異界化しているのがアイデア。ただし笑うどころではないエピソードも。主人公はパッとしない脚本家で、そんな彼の悪夢か妄想かと思わせつつ、異界と現実の境界を曖昧にして進行、映画プロデューサーとのやり取りなど、本作の裏ネタ? 名前や美術にもかなり遊びがあり、ジグザグ、ケルべロス、すすきの原、キツネの面etc。成田凌の演技も真面目に弾け、痛いオチも納得! やっぱり映画の眼目は、脚本だ。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    プレス掲載の原案者マーク・シリング氏と三木聡監督の対談で明かされているのは、アメリカ人のシリング氏が日本のコンビニを寓話や神話の舞台になりうる場として見たこととそれに三木監督のノワール映画教養とファンタジー資質が結びついて本作は成立したということで、私は鑑賞後それを読んでなるほどと思った。ベクトルが逆のことを考えてたから。つげ義春みたいなものから日本ぽさ、土俗土着テイストを脱色したか、と思ったらそれはもとよりなかったと。シン・アングラだ。

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