クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たちの映画専門家レビュー一覧

クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち

    ハリウッド映画で活躍する特殊効果アーティストたちの素顔に迫ったドキュメンタリー。「スター・ウォーズ」で特撮を手掛けたフィル・ティペットや「メン・イン・ブラック」で特殊メイクを担当したリック・ベイカーが、仕事へのこだわりとその舞台裏を明かす。特殊効果を活用してきた映画監督のギレルモ・デル・トロやジョー・ダンテなども登場。監督は「レイ・ハリーハウゼン 特殊効果の巨人」を手掛けたジル・パンソとアレクサンドル・ポンセのコンビ。
    • 米文学・文化研究

      冨塚亮平

      ハリウッド特殊効果の歴史を振り返る本作は、コマ撮りやアニマトロニクスなどの現在では衰退しつつあるかつての職人的技術への愛と敬意に満ちている一方で、自らの経験を還元し近年のCGIを取り込んだ制作体制に適応しようとする関係者たちの姿をも同時に描くことで、単純なデジタルとアナログの対立図式には陥っていない。なによりも、自らの用いた技術についてイキイキと語る職人たちの、怪物が大好きな少年の心を持ち続けていることが一見してわかる表情に魅了される小品。

    • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

      降矢聡

      ジョルジュ・メリエスやウィリス・オブライエンにまで遡り、コマ撮りや特殊メイク、アニマトロニクスからCG、そしてモーション・キャプチャーへと至る特殊撮影の“進歩”が語られる。しかしアナログな創造力とデジタル技術の組み合わせ方の大切さを説くこの映画は、現在はどうせCGなのだからと誰も驚かなくなってしまったと、進歩の逆説を憂いもする。また、デジタル技術の発展に伴い、特撮デザイナーの仕事や尊厳が喪失していったという働くことに関しての指摘も興味深い。

    • 文筆業

      八幡橙

      フィル・ティペットやリック・ベイカーを筆頭に、錚々たる面々が振り返る特撮や特殊メイクの黄金期。時代を彩る映画たちの記憶と、画期的なクリーチャーの試行錯誤の末の誕生秘話は、スクリーンで初めて遭遇したときの驚きと興奮を蘇らせてくれて、ワクワクが止まらない。一方、「ジュラシック・パーク」が告げたCG時代の到来と、それにより行き場を失う特撮マンの悲哀もストレートに語られ、胸つまる思いが。特に「遊星からの物体X」のロブ・ボッティンが業界を去った話には、涙。

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