ブラック・フォンの映画専門家レビュー一覧

ブラック・フォン

「ゲット・アウト」の映画製作集団ブラムハウス・プロダクションズと「ドクター・ストレンジ」のスコット・デリクソンがタッグを組んだサイコ・スリラー。少年フィニーは連続誘拐犯によって地下室に閉じ込められてしまう。そこには、断線した黒電話があった。原作は、スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒルの短編小説『黒電話』。出演は、「テスラ エジソンが恐れた天才」のイーサン・ホーク。
  • 映画評論家

    上島春彦

    サイコパスに地下室監禁された少年と、彼の行方を探すその妹の超能力者。それぞれの行動が同時進行で描かれる。ホラーだがユーモアも隠し味で、普通のアメリカの田舎のたたずまいが心憎いね。タイトルの意味は少年に時々かかってくる壁の黒電話のこと。配線は切れているのに、はて。この企画が可笑しいのは脱出のためのアドヴァイスが結構もどかしくて、有効なのかそうじゃないのか微妙なところ。この感覚がスティーヴン・キングのパロディみたい。原作者はキングの息子さんとか。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ジュヴナイルもののホラー/スリラーとして正攻法な作りであり、途中でダレることもないため最後まで退屈せずに観られる。少年が電話機を使って敵を退治するシミュレーションをする場面をやや長回しで映すあたりの演出も満足度に貢献しているかもしれない。しかし殺人犯自体の狂気や恐ろしさがいまいち足らず、イーサン・ホークをそこまで生かしきれていないように見えてしまった。終盤の山場にしても脚本や演出などの工夫でもっと盛り上げられたような気がしないでもないのが心残り。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    主人公の少年が事件に巻き込まれるまでの70’sアメリカの景色や生活は各演出のカット不足を忘れさせるほど魅力的だ。しかし舞台が例の部屋に移ってからは、それだけ各方面から助けがくりゃーそりゃ逃げられるでしょうよというツッコミを我慢していた。つまりエスケープ・サスペンスがまったく効いていない。レザーフェイスのごとく意味からの逸脱を試み、ただの変なおじさんになってしまったイーサン・ホークとフッテージ映像に異様に執着する監督には妙な愛しさを覚えたのだが。

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