ニューオーダーの映画専門家レビュー一覧

ニューオーダー

「母という名の女」のミシェル・フランコ監督による第77回ヴェネツィア国際映画祭 審査員大賞受賞作。裕福な家庭に生まれ育ったマリアンの結婚式。着飾った政財界の名士たちが豪邸に集うなか、ほど近い通りでは貧富の格差に対する抗議運動が暴動と化していた……。出演は、メキシコで活躍する女優ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド、「モンスターハンター」のディエゴ・ボネータ。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ひでえな。見ながら呟いた。容赦なく人が殺される。あっという間。こいつは助かるのではと思われる人物もあっさり殺される。ヒロインもボロボロにされ、ホントに可哀想。人が悪い。意地が悪い。これでもかとひどいことが連鎖していく。救いはない。じりじりしてくる。誰かいい人出てこないのか。キツイキツイと思いながら、それでも画面から目が離せない。怒りを思い切りぶつけているような妙な解放感がある。そのエネルギーがこっちを巻き込んでいく。ゾクゾクする。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    理解のし得ない者たちは人間ではなくエイリアンなのか。赤い血の代わりに、緑色の液体が飛び散るこの街で、一体誰が人間でいられるのか。戦争とはつくづく人間でいられなくなることなのだと思い知らされる。止まらない憤りは、個々を離れ集団のものになった瞬間過剰な攻撃性を生み出す。大量に誰かが死ぬまで暴力は終わらない。本来なら最高に幸せなはずの自分の結婚式で、白いドレスではなく戦闘服さながら赤いパンツスーツを着た花嫁の闘い方は、最後まで人間でいることだった。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    元使用人のお願いに対し、誰も真摯に応じられない。そんななか新婦だけが自分の結婚パーティを抜け出してまで人助けに参じるが、その結果彼女が最も悲惨な目に遭っていく。つまり、一番良い人が一番悪い目に遭うと、観客は一番不快な思いをする、という単純な信念に基づく映画。観客に与える効果から逆算して作られており、その点で映画というより広告の論理に準じた作品だ。不快なお話を見るのは不快でなくても、観客を不快な思いにさせてやろうと意気込む監督の品性は不快である。

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