ドンバスの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
戦争下の人たちのキツイところをこれでもかと描く。相手側の捕虜が、みんなにいたぶられるとことか。最初は面白がって見ている人たちが、だんだん本気になって殴りつけたり殺せと叫んだり。車を略奪される男のポカンとした顔も忘れられない。冗談でしょって顔が、だんだんマジかよって顔に変わっていくのが怖かった。ブラックすぎる。笑えないのに、無理やり笑ってる感じ。ウンザリした気分で見るしかない。ラストはびっくりした。言葉もない。ただただびっくりした。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
全てが作り物のようなのに、驚くほどにリアルなこの世界はなんだろう。戦争へと続く嫌な空気が蔓延している。映画だから、暴力的なシーンにも怪我人がおらず、誰も死んではいない、はず。そんな安心感がない。あの嘲笑の笑いは本当に下卑た笑いなのではないか、と不穏な気持ちになり耳にこびりつく。何度となく、この映画にフェイクニュース用のアクターが登場する。白く厚塗り化粧をしたピエロのような顔。それがこの映画そのものなのかもしれない。すごいものを見てしまった。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
始まりと終わりをフェイクニュースの撮影現場とするのは、この映画も同類と告げるため。わかりやすい作りだが、けっして居心地のいい作品ではない。主な原因はカメラの地位が安定させられないこと。しかも、あえていうならそれこそが本作の唯一の目的なのだ。手持ちでカメラの存在を強調するかと思えば、劇映画に特有のカット割りによってカメラの透明性に焦点が当てられる。その点、一度だけ動揺を隠さなかったとはいえ、あくまで記録に徹した「Maidan」(14)と大きく異なる。
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