わたしは最悪。の映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
主人公の女の人がコレ浮気じゃないよねって言って、一晩男の人と過ごすくだりが良かった。お互いの脇の匂いを嗅ぎ合うとことか、トイレでおしっこ見せ合って思わずおならが出ちゃうとことか、笑ってしまう。自分探しを続ける主人公の間違いっぷりが微笑ましい。男の人と出会って、恋に落ちて、別れて。ただそれだけのことが愛おしく思えるのは、彼女が一生懸命だからだ。一生懸命間違い続ける姿を見ていると、涙が出てくる。真面目でちょっといい加減な彼女が実にキュート。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
結局“わたし”とは何なのかわからないまま、物語=人生が続いていくことに意味がある。わたしとあなたの物語ではなく、徹底してわたしの物語。だからこれはラブストーリーとはちょっと違う。ユリアはきっとどんなことにも簡単に納得しないし満足もしない。用意された道からあえて逸れることは、決して逃げ出すことではない。諦めて人生を悲観しているわけでもない。むしろ徹底して自分と向き合おうとしているからこそ「わたしは最悪」と言うことができるのだ。誠実で新しい。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
アイヴィンがアダム・サンドラーに見える瞬間があって「パンチドランク・ラブ」(02)を期待するも、これでは世界中の書店員とカフェ店員を敵に回すのではないかと心配になる。職業に序列が付けられているようで、その点が気になった。また、結局は「恋より仕事」という類型に落ち着くように見えるが、そのわりに描かれるのは恋愛ばかりで仕事に関心が払われていない。この映画を見終わって、彼女が仕事を覚えて写真家になっていく、その過程を追った別の映画を私は想像した。
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