郊外の鳥たちの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
男がホテルの部屋に帰ってくる。そこに電話がかかってくる。次のシーンはもう半裸の女とベッドの中にいる。何が起こるかわからないワクワクに満ちている。小学校に忍び込み机の中のノートを見る。いきなり子どもたちの話になる。とにかくみんな異常に生き生きしている。枝をつないで鳥の巣を突く。いちゃついたり抱き合ったりの描写が素晴らしい。子どもたちは小さな旅に出る。一人ずついなくなっていく寂しい感じ。夕暮れの河原で女の子が立ち尽くす。その後ろ姿の美しいこと。
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文筆家/俳優
睡蓮みどり
始まりからずっと、この映画が好きだなぁとしみじみ感じ、それが無理なく続いていく。どのシーンも言葉にし難いのだが、さざ波が押し寄せるように胸を震えさせ、きゅっと熱くさせる。記憶としての映像が入り混じり、におい立つ木々の香りと鳥の声を感じる。とてもノスタルジックなこの感じ。夢を見ているような、そして終わってしまうことを知っているような寂しさが少しだけ残る。あの子たちは確かにそこにいたのだ。チウ・ション監督の名前を胸に刻みつけた。紛れもない大傑作!
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映画批評家、都立大助教
須藤健太郎
18年製作の本作と清原惟「わたしたちの家」(17)の同時代性。しかしチウ・ションの場合、別世界との交通を可能にするのは「家」(空間を保証するもの)ではなく、空間の歪みをもたらす「地盤沈下」が始まりにあり、むしろ家の解体こそが主題となる。だから、監督がズームの使用をホン・サンスの影響だとか、測量機の模倣というのは照れ隠しなのだろう。ここでのズームは空間の歪みを視覚化する便宜的な技法だからだ。なお、劇中の謎々の答えは私にはわからずじまいだった。
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