シェイン 世界が愛する厄介者のうたの映画専門家レビュー一覧

シェイン 世界が愛する厄介者のうた

英パンク・バンド“ザ・ポーグズ”のシェイン・マガウアンの半生をたどるドキュメンタリー。5歳から飲酒・競馬・タバコを嗜み、10代でドラッグ地獄に転落。そこからバンドを結成し、絶大な人気を集めるも音楽史に残る仰天事件を連発。その破天荒な音楽人生に迫る。製作を務めたジョニー・デップや、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー等、シェインを愛するアーティストたちがインタビュアーとして出演。監督は「ビギナーズ」のジュリアン・テンプル。第68回サン・セバスチャン国際映画祭 審査員特別賞受賞。
  • 映画評論家

    上島春彦

    知らないミュージシャンの音楽ドキュメンタリーでは(私には)辛いか、と危惧したがそんなことはなかった。主人公のキャラの面白さもあるし、アイルランドの音楽と政治運動の直接的なつながりを豊富な映像クリップで検証するというジュリアン・テンプル監督のコンセプトもいい。映画的には、知らない映画の引用の中に「アラン」とか「邪魔者は殺せ」等の名作が時折入り込んでくるのが楽しい。明らかに酒でぶっ壊れた人なのだが、幼少時からの飲酒が彼の人格を作ったのも確かだな。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ザ・ポーグズ、そしてそのシンガーであるシェイン・マガウアンの名を一切知らなかった立場での鑑賞。なぜ彼を「世界が愛する」のか、映画が進んでいくにつれてなんとなくわかってくる。現在の草臥れて不明瞭な口ぶりと挙動も鈍重になったシェイン自身の姿と、ラルフ・ステッドマンのアニメーションやさまざまなアーカイブ映像による彼の破滅的な半生が交互に提示されていくこのドキュメンタリーは単に一人の音楽家の栄光と没落を行き来するのでなく祝祭的なメッセージに満ちている。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    〈ニューヨークの夢〉はいい曲だよなあという程度のあまり良いポーグス・ファンではない筆者はこれ系の音楽ドキュメンタリーの多くがそうした機能を持つように、このミュージシャン、シェイン・マガウアン=ポーグスに改めて興味を持ちたい、出会い直したいという思いで画面に目をこらしていたが、コラージュされ多用されるサンプリング映像の多くがシェイン自身のものではなく、記号的な映像の羅列であったためか、どうもシェインに入っていけないまま映画が終わってしまった。

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