ALIVEHOON アライブフーンの映画専門家レビュー一覧

ALIVEHOON アライブフーン

世界のトップレーサーたちがCGなしのリアルドリフトを披露する大迫力のカーアクション。eスポーツ界の天才ゲーマー、大羽紘一は、解散の危機に瀕したドリフトチームにスカウトされる。その実力を実車でも発揮する紘一の前に、数々のライバルたちが現れる。出演は「ビブリア古書堂の事件手帖」の野村周平、「ハニーレモンソーダ」の吉川愛。監督の下山天が企画構想に3年を費やした作品で、「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」でもテクニカル・アドバイザーを務めたドリフトキング、土屋圭市が本人役でも出演し、監修を務める。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    最後までドリフトレースの勝敗基準が分からなかった。だからいくら車の走りをカッコよく撮っても、映画的カタルシスに繋がらない。ハリウッドはちゃんと説明するけど。ルーティンが悪い訳ではないが、人物も展開もルーティン過ぎて魅力がない。ルーティンを積み重ねて、定番から逸脱した感動を生み出さないと。ハリウッドはそこも上手い。みんな、なんでそれを勉強しないのか。マーヴェリックの時代にトップガン以前に留まっていては。何百分の一の予算で勝負するなら、中身でしないと。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    レースシーンが生々しい。ドリフトという競技に焦点を絞り、これをいかにリアルに撮るかに注力したからだろう。車と車がギリギリまで接近するスリルも、強烈なGがかかるコックピットのドライバーの表情も真に迫っている。レースカーのエンジン音に臨場感があり、タイヤの焦げる匂いまで伝わってきそう。貧乏なレーシングチームを内向的なゲーマーが救うというドラマは定型的だが、弱きが強きをくじくというスポーツ映画のツボを押さえていて痛快。ラストも西部劇みたいだ。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    天才ゲーマーが実世界でも頂点を目指す少年漫画のようなストーリーに既視感はあるが、日本発祥の唯一のモータースポーツという割には馴染みの薄い“ドリフト”の魅力を、臨場感たっぷりに押し出すことを最優先させた潔さが奏功。監修も務める土屋圭市氏自らナチュラルに演じる競技の解説場面も、「ピッチ・パーフェクト」シリーズの名物審査員コンビのごとき辛辣なユーモアが利いて、観ている側まで身体に力が入ってしまう緊迫のカーアクションが続く中、程よい緩急を生んでいる。

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