バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版の映画専門家レビュー一覧

バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版

世界的探偵小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを原案とし、ディーン・フジオカ演じる誉獅子雄(ほまれししお)と、岩田剛典演じる若宮潤一(わかみやじゅんいち)が、唯一無二の名探偵バディとして数々の難事件を解決するフジテレビ系月9ドラマ『シャーロック』の劇場版。ホームズシリーズ最高傑作と呼び声の高い『バスカヴィル家の犬』をモチーフに、華麗なる一族の闇に獅子雄と若宮が迫る。ドラマの魅力的なキャラクター、テンポの良いスタイリッシュな演出、美しい映像はそのままに、映画ならではの重厚感をもたらすのは「容疑者Xの献身」「昼顔」などの西谷弘監督。徐々に忍び寄る恐怖が、やがて画面を覆いつくす、本格心理スリラー。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    同時代のテレビ局所属演出家では唯一の例外として、映画的演出を駆使し、フィルム撮影を敢行するなど手法にもこだわりをみせてきた西谷弘だが、ミステリーの導入を描いた本作のオープニングシーンの覇気のなさはどうしたことだろう。レギュラーキャストが登場してからも一向に画面が華やぐことなく、敗戦処理をするかのごとく最後まで淡々と物語を消化していく。脚本に問題ありと思いきや、「東山狭」という見慣れぬクレジット、どう考えても「西谷弘」の別名ではないか。

  • 映画評論家

    北川れい子

    浮世離れした人物たちと、思わせ振りな事件もさることながら、説明台詞と説明映像、後だしじゃんけんの大盤振る舞いは、観客を馬鹿にしているとしか思えないほど。ドラマシリーズは観たことがないが、いつもこうなの? 俳優陣のらしい演技はプロなのだから当然としても、何だかお疲れさまと言いたくなったり。謎解きを楽しむ娯楽映画は大歓迎ではあるが、この作品は事件も人物たちもあまりにも遠すぎて、最後までシラー。携帯が使われているのも無理やり感が見え見えで、心底参った。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    スケジュール事情あって本作のみ特に編集部から本欄対象作である旨の連絡あったが脊髄反射で返信したメールに私はシャーロッキアンですから歓迎です的なこと書いた。実際それは本心本気で結果本作はいまいち。昨今のホームズ変奏映画・ドラマではワトソン役(ジュード・ロウやアンドレイ・パニンやルーシー・リュー)の存在感と能力がブーストされて楽しい。それがなくともワトソンがホームズ代理となる「バスカヴィル」をやるなら岩ちゃんをどう見せるかだが、中途半端だった。

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