きさらぎ駅の映画専門家レビュー一覧
-
映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
制作予算の都合なのだろうが、長々と続く「異界」描写がカラーグレーディングとエフェクトのてんこ盛りの上、安っぽいCGまでトッピングされていて、どうしたって興を削がれてしまう。もっとも、監督デビュー作から継続してネット掲示板の都市伝説を題材としている永江二朗は、その安っぽいCGも逆手にとって、ありきたりのJホラー的恐怖描写を刷新しようとしているのかもしれない。登場人物のフラットな造形も、現実世界の陳腐さを反映したものと擁護することは可能か。
-
映画評論家
北川れい子
もとネタはネット経由の〈都市伝説〉だそうだが、電車、単線、トンネル、無人駅という異世界の入口は悪くない。なぜかそこに迷い込んだ6人の、うち5人は不可解な死を遂げるのだが、ひとり異世界から脱出した女教師が語る恐怖体験が、彼女の一人称視点の映像なのがトリッキーで、何か裏が? その話を聞いた女子大生が、洗脳されたように自分から異世界に入り込み、死も記憶もリセットされた先の5人と必死で逃げ回るのだが、ホラーにしては仕掛けが甘い。エンディングもえ、えっ!
-
映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
まったく予備知識なしに観始めることに成功してしまい予断としてはなにか抒情的な話か駅で出逢い別れる涼やかな恋愛映画かと思っていたので、神隠し都市伝説系異世界ホラーと知ってのけぞる。画面の軽さ脇役人物の薄さから、どうかなあ、と思うが中盤以降そこをひっくり返していく物語の面白さがあった。現代の神隠しを調べる民俗学専攻学生が自身でその異世界に入るがすでに聴き取っている体験談でチートする、の面白さに加え、なかなか気の利いたどんでん返しが。嫌いじゃない。
1 -
3件表示/全3件