ハウの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
国内メジャー配給のいわゆる感動ポルノ映画は稀に良作もあるので侮れないのだが、本作では脚本家(=原作者)や監督が頭の中で物語をこねくり回した結果、細かい設定の齟齬が重なって違和感ばかりが前景化している。やはり、建前であっても「実話を元にした物語」みたいな前提がもたらす説得力は重要なのだろう。まるで音声解説のようなナレーションの多用からも、監督がこの「絵に描いた餅」のような物語を信用しきれていない様子がうかがえる。いや、信用してないのは観客か。
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映画評論家
北川れい子
こじつけを承知で書けば、白い大型犬ハウは、人間中心主義のこの映画で、岩手県生まれの詩人・宮沢賢治の「雨ニモマケズ」をそっくりやらされている。うっかり長距離トラックに乗り込んでしまったハウが、雨風にも負けずに青森から飼い主のいる横浜を目指す道中劇。むろん岩手にもしっかり立ち寄る。その土地 ごとにハウは、様々な人間と関わり「ホメラレモセズクニモサレズ」に去っていくのだが、素直に観れば一般受けのする感動作に仕上がっているのだろうが、私にはいやらしい。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
微温湯的な愛犬ものか、と思いきや、ところどころにゴツゴツとした骨を感じた。ホームレスには冷淡なのにペットには想いを注ぐ人間社会、ということまで描きたかった気配を感じる。そのかわりサイコパス的なひとが多数登場する。犬のおかげで人間が外から見られている映画になっている。屋外で長い時間を過ごさざるをえないもの、故郷喪失者、護られないものたちに幸あれ、とも謳う。800キロ旅して感動の再会でしょと思ったらもうひとつひっくり返した。その別れがよかった。
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