まっぱだかの映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
人より心が柔らかい故にままならない人生から一歩踏み出す。そんな映画の多いこと多いこと。それでもやるなら、自分にしか出来ない表現を苦しんで探さないと、その他大勢の一本で消えるだけ。都内単館一日一回数週間上映で、固定ファンと知り合いが来て、「良かったです」とサイン求められて満足する人生は、今すぐ捨てた方が。というか、それを映画にした方が。これは元町映画館10周年だから関西では上映したみたいだけど。これじゃおめでとうって言えない。津田晴香は素晴らしい。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
映画は感情を伝えるものだけど、感情を撮るのは難しい。感情には形がない。過剰な自意識をもてあます若い画家の焦燥感を、坂道での独りキャッチボールで表現したのは見事だと思う。ただ自堕落に酔いつぶれる彼の失意はどこから来るのか。作り笑いがこびりついた若い女優の苛立ちはなにゆえなのか。二人が互いのどこに共感し、どうして解放されるのか。どの感情もよく見えない。すべてが人間を型にはめる抑圧行為への反発だとしたら、あまりに素朴すぎないか。幼すぎないか。
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映画評論家
服部香穂里
顔で笑って心で泣く女優の卵や、強すぎる友情をこじらせビンタまで炸裂する悪友が、あまのじゃくな関西人のめんどくささを不細工なほど実直に体現するのに対し、元カノとの思い出に異様に執着したり酔いつぶれたりしながら、失恋の痛みをひけらかし気味にアピールする描けない画家の策士ぶりが少々鼻につく。もらい事故にも近いバーのマスターまで巻き込み、“まっぱだか”にされる周囲と裏腹に、彼自身の貫くマイペースな頑なさが、どこか釈然としない後味を生む。
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