マリー・ミーの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
上島春彦
主演女優のミュージックビデオとして楽しむには極上、さすがスーパースター、絶対のお薦め品。しかし富裕所得者層の「全世界から愛される歌姫」は低所得インテリの「一介の数学教師」に何をやっても許される、という物語の甘えには疑問符が付く。望まない結婚とは一種の暴力ではないか。世間がこの不条理を笑って許す構図も恐ろしい。愛は暴力とは違う。微妙な差だが、才能を欠いた脚本家監督がスクリューボール喜劇まがいの企画をやるとこうなるというサンプルになってしまった。
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映画執筆家
児玉美月
ハリウッドの王道ロマコメは2020年代に入っても不滅なのかと思いながら観たが、不満はありつつも愛すべき一本。ジェニファー・ロペスのパフォーマンスを贅沢に見せるサービス精神も旺盛で、タイトル曲が保守的でありながら、彼女にしっかり「女は姓を守り、男に努力させる」と言わせる。ファンの期待に応えられないと部屋でうずくまる姿は「レディー・ガガ:Five Foot Two」でガガが見せた姿なども彷彿とさせ、ロペス自身のドキュメンタリー映画を観ているようでもあった。
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映画監督
宮崎大祐
J.LOによるオートチューンが全開にかかった歌い出しには21世紀を感じさせる高揚があり、マルーマ演ずるドレイクなのかJ・バルヴィンもどきの色男には笑わせてもらったが、肝心の本篇はいわゆるシンデレラものをなぞるだけで強引な展開も多く、制作者が世界を肯定することに躍起になりすぎている気がする。ただし、それを許容レベルに引き戻すオーウェン・ウィルソンの圧倒的ないい人感と声色、そして時おり画面に映る名もなき在野の人々の圧倒的な美しさには感動。
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