ロックフィールド 伝説の音楽スタジオの映画専門家レビュー一覧

ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ

    1970~2000年代にかけブリティッシュ・ロックの名曲を次々に生みだした音楽スタジオ、ロックフィールドの歴史を辿るドキュメンタリー。ウェールズの酪農場を引き継いだ兄弟が設立した滞在型音楽スタジオでの逸話を、ロックスターたちが楽曲とともに振り返る。オジー・オズボーン、レッド・ツェッペリンのロバート・プラント、元・オアシスのリアム・ギャラガーら多数のミュージシャンが登場。
    • 映画評論家

      上島春彦

      ブリティッシュ・ロックに明るくない筆者でも十分楽しめた。農場に作られた滞在型録音スタジオの半世紀、という構成は一見地味。だが、特に20世紀最後の20年はMTV最盛期と重なるので、ここでもたっぷり英国ロック・シーンを代表するグループの演奏がビデオ・クリップでフィーチャーされる。現在のパートでは、クスリの件とかあっけらかんと当事者が語るあたり、さすが英国。懐が深い。日本じゃこうはいくまい。お得意さんでも、出演辞退した方々もおり、それだけが残念だった。

    • 映画執筆家

      児玉美月

      この星取りで取り上げただけでもブラック・ミュージックを扱う「サマー・オブ・ソウル」やジャズを扱う「ジャズ・ロフト」など、音楽の歴史を遡って新たに現代に伝えようとする粒揃いのドキュメンタリー映画が続いている。音楽のテーマのなかでも「場所」に焦点をあてたという観点では「ジャズ・ロフト」とも近似しているが、本作は長閑な農場×ロックと、一見結びつかない同士が互いに化学反応を起こしあっていたことを伝える。作り手が現代にこの映画を必要だと感じた理由が明確。

    • 映画監督

      宮崎大祐

      古くはイギーやボウイも訪れ、オジーがヘヴィ・メタルを生み落とし、ストーン・ローゼズのアルバム・レコーディング中には仔牛が2頭生まれたという、この伝説的な農場スタジオの歴史に迫ることは70年代以降のUKロック史を概覧することでもある。次から次へと登場する超豪華アーティストたちによる名盤・名曲レコーディングのウラ話を、どこか恐れ多く見ていた。伝説的な作品が生まれる背景には作品自体と同じくらい突飛で斬新な発想や出来事、そして変人が存在している。

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