ボブという名の猫2 幸せのギフトの映画専門家レビュー一覧

ボブという名の猫2 幸せのギフト

実話を基に、孤独な青年と猫の絆を描いた「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」の続編。ストリート・ミュージシャンからベストセラー作家に転身したジェームズと、彼の相棒で茶トラ猫のボブ。生計を立てるため路上で過ごした、最後のクリスマスを振り返る。前作に続き、主人公ジェームズをルーク・トレッダウェイが演じるほか、『シスター戦士』のクリスティーナ・トンテリ=ヤングが出演。監督は「ベラのワンダフル・ホーム」のチャールズ・マーティン・スミス。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    猫の美談で感動させようなどという手に乗ってたまるか、と観始めたがしっかり泣かされた。なぜ冒頭で成功者となったジェームズを映してしまうのか、なぜ執拗に同じ曲を劇伴で使うのか、といった疑問はいくつかあるものの、彼が動物福祉担当との揉め事を通じて、ボブとともに暮らすことこそがもっとも大切なセルフケアの実践にもなっていたという事実を再発見していく過程には胸を打たれるものが。アジア系の友人たちをはじめとする隣人との相互扶助が随所で強調されている点も良い。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    猫と離れ離れになってしまうかもしれない、ということがメインの物語である。しかし猫と仲良く暮らしている現在から、猫と離れ離れになってしまうかもしれない過去語りがはじまる構造なのだから、誰がどう見ても猫と離れ離れにならないことは自明だろう。ならば、猫との結末ではなく、それまでの過程に意識的な作りになっているかと問われれば、それも特に感じられなかった。猫周りになると急にGoProカメラのような質感になる演出もうまくいっているとは言い難い。

  • 文筆業

    八幡橙

    実話であるベストセラーを映画化した前作は、猫の名演&存在感に乗っかっただけのほのぼの映画に見えつつ、実は過酷な家庭環境やヘロインへの依存、結果陥るホームレス生活から脱するまでの主人公の葛藤と英国の根深い貧困問題を映す芯のある人間ドラマだった。が、今は亡きボブ含む主演二人を除いて監督も脚本も総入れ替えの本作は、嫌な予感どおりの仕上がりに。未見の方は、岩合さんのネコ歩き風味と、人間社会の悲喜交々が猫目線を交え程よい塩梅に描かれた第一作をこそ、ぜひ。

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