愛なのにの映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
森田芳光脚本を根岸吉太郎が撮った「ウホッホ探検隊」の成功を思い出す。なんというシャープな企画。脚本監督が別で広がる作品世界。甘い着地は嫌だなと心配してたら、とんでもなく不道徳なラスト。ウホッホに微かにあった結婚や家族への幻想は微塵もなく、個人だけが屹立する。16歳との淫行を警察に疑われ、やってないのにプライバシーだと答えを拒む瀬戸康史。映画の代表作になったのでは。作品ごとに別の顔を見せる河合優実が魅力的過ぎて。末恐ろしい。城定→今泉にも期待が高まる。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
今泉力哉の鋭角的、理知的な恋愛劇の脚本を、城定秀夫監督が柔らかく受け止めて、抑制の利いた情感を醸し出している。このコラボレーション、互いに角をたわめていないのが面白い。今泉演出ならもっとこうするだろうなと想像しつつ、城定が今泉脚本の毒を城定なりにうまく生かしているのがわかる。まるでフグの調理人のように。女子高校生役の河合優実をはじめ、俳優たちが生き生きしているのはその証左。脚本、監督が逆の組み合わせの「猫は逃げた」をあわせて見ると楽しい。
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映画評論家
服部香穂里
結婚式を控えた迷惑千万なカップルをめぐる、どいつもこいつもな男女が織り成す痴情のもつれ合い。顧客の信頼を得ながら欺いてもいるウェディングプランナーも、映画「卒業」嫌いを宣言したそばから二股の背徳感に溺れる婚約中の女性も、ツッコミどころ満載だが、当人らは本能の赴くまま、身を任せているに過ぎない。エゴそのものの愛に理性やモラルを求めること自体、いかに気色悪く無意味であるかを見せつけ、甘い夢も、身も蓋もない現実が凌駕してしまう、しょっぱい恋愛劇。
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