オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険の映画専門家レビュー一覧

オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険

    オーストリアからオーストラリアまでを、ふたりの若者が自転車で旅したロードムービー。自分の限界に挑戦してみたいというシンプルな情熱と世界の向こう側を見たいという好奇心に突き動かされ、海路を除いてその距離18,000kmをアンドレアスとドミニクが駆け抜ける。ふたりはIT企業に勤めるごく一般的な若者。計画に2年間を費やし、自分たちで4K小型カメラやドローンを駆使して撮影しながら自転車を漕ぐこと11カ月。その訪問国は19カ国に及んだ。撮影後は編集までを自分たちで担い、本作を完成させた。雄大な美しい景色が切り取られているだけでなく、自然や環境に左右される苦難や、地元の人々との暖かい交流、旅先での「受け入れなければならない現実」を余すところなく見せている。
    • 映画監督/脚本家

      いまおかしんじ

      二人だけで撮ってるとは思わなかった。客観ショットがいくつか入っているので、誰か撮影する人がいるのかと思っていたのだ。まんまと騙された。自分らだけでどうやって旅を撮るのか、様々な工夫が見える。人々との触れ合いも微笑ましい。この二人、実にいい奴らだ。いい奴すぎて物足りない。何をするのも楽しそうで、どこがツライんだ、贅沢言うなと思ってしまう。二人の切迫したものが見えない。何を考え、何のために走っているのか、冒険とは何か、もっと知りたい。

    • 文筆家/女優

      唾蓮みどり

      自転車でオーストリアからオーストラリアへの二人旅は、決して気楽なものではない。自転車で移動するということはむき出しのままでいるということだ。気候がいい場所や整備された場所では快適でも、時に雨にさらされ、虫に苛立ち、水を求めて彷徨う。思いがけない出会いが物語を魅力的にする。あっという間に映画が終わるのとは反対に、実際には膨大な時間がかかっている。編集も大変だったに違いない。この旅が二人の人生にどんな影響をもたらしたのか、いつか続篇を見たい。

    • 映画批評家、東京都立大助教

      須藤健太郎

      見ながら考えていたことは主に二つ。一つは、なぜドローンを使うと誰が撮ってもこんなに画一化された映像になってしまうのかということ。もう一つは、「権威」のために映画が求められているということ。この題材は以前だったらテレビ、いまだったらYouTubeか何かに向いた連続ものの企画、この旅のプロセスそのものに付き合わなければ面白くない。実際、この映画は終わった時点から組み立てられたものでしかないので、ひたすらに退屈である。それでもなお映画にしたいわけだ。

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