アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイドの映画専門家レビュー一覧

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

マレン・エッゲルトがベルリン国際映画祭銀熊賞(主演賞)に輝いたラブロマンス。楔形文字の研究に没頭するアルマは、研究資金を稼ぐ目的で極秘実験に参加。そこに現れた美貌の男性トムは、アルマの好みに合わせてプログラムされた高性能アンドロイドだった。共演は「美女と野獣」のダン・スティーヴンス。監督は、プライムタイム・エミー賞を受賞した『アンオーソドックス』のマリア・シュラーダー。
  • 映画評論家

    上島春彦

    理想の恋人アンドロイド物とか男性をペットとして女性が扱う話は、20年以上昔、特にアジア映画で流行った。これはその後追い企画というより、そういう世界観に対する疑義が根底にある。それは理解できるのだが、自分がたかが人間であるというだけでアンドロイドを侮辱したり性奴隷みたいにして全然構わないという主人公の潜在意識はどうなの。また、コンセプトに今一つ乗れないのは、三週間の治験期間が終了したら主人公はどうする気だったか、何となく準備設定が分からないから。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    研究職の志の高い独身女性が、理想的な男性の姿をしたロボットの恋人と過ごす実験の過程において、ロボットと相対化させるための生身の男性が登場しないのは、探求したいテーマをブレさせないための英断だったかもしれない。しかし年配の男性が自身より若くて美しい女性のロボットを連れ添いながら幸せを語る挿話の時点で、やはりルッキズムに対してあまりに無批判すぎると感じざるをえなかった。映画で使い古されてきた目新しい物語ではないだけに、もう少し現代的な視点がほしい。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    自分のパートナーがロボットだったらどうしますかという散々使い古されたネタに真っ向から挑戦して、それなりに成功している。平凡な論理と物語展開ではあるが、主人公アルマと美しいベルリンの街並みを徹底的に見つめつづけたことで、あのベルガモン博物館での奇跡の一夜がもたらされたように思える。化学反応の連鎖としての人間の感情をコンピューターが完全に再現できるようになるまであと100年と少しだという。名状し難い愛や欲望もランダム機能で再現されるのだろうか。

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