KAPPEI カッペイの映画専門家レビュー一覧

KAPPEI カッペイ

『デトロイト・メタル・シティ』などの人気漫画家・若杉公徳が手掛けたギャグ漫画『KAPPEI カッペイ』を実写映画化。ノストラダムスの予言を信じ、1999年の人類滅亡に備えて無駄に修行を重ねてきた最強の救世主たちの青春物語をド派手に描く爆笑エンターテインメント。粘っても粘っても世界は一向に滅亡せず、活躍の場を与えられなかった彼らがたどり着いたのは、その能力を全く必要としない現代の東京だった。最強だが需要もなく社会常識もない戦士たちが、平和な大都会で初めて知るピュアな恋心、友情、葛藤、花見、合コン、嫉妬心、遅すぎた青春とは……。「スマホを落としただけなのに」シリーズのプロデューサー、平野隆が初監督、「翔んで埼玉」の脚本家・徳永友一とタッグを組んだ。主人公・勝平を演じるのは「海猿」シリーズで座長を務めた伊藤英明。勝平が運命的な出会いを果たす女子大生・山瀬ハルに上白石萌歌、勝平に振り回され続ける気弱な大学生・啓太に西畑大吾(なにわ男子)。また、終末の戦士・守、正義、英雄、そしてその師範を、大貫勇輔、山本耕史、小澤征悦、古田新太らが演じている。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    同じ原作者の『デトロイト・メタル・シティ』実写化のヒットはあったものの、それも14年前のこと。「よくこの企画が東宝で通ったな」というのが観る前の正直な所感だったが、それは鑑賞後も変わらない。企画以外の欠点として特に気になったのは、一部の日本映画によく見られる、まったく演出意図が不明な逆光を多用した照明と、成年してからのキャラクターとは似ても似つかぬ子役。伊藤英明がプロに徹して作品を背負っていることで、ところどころクスッと笑えるやりとりはあったけれど。

  • 映画評論家

    北川れい子

    週末、おっと〈終末の戦士〉に対するディスりの切り口が、原作者は別だが「翔んで埼玉」調のアナクロ脱力系。それもそのはず、脚本は同じ徳永友一で、さしずめ翔んだカッペイ、翔んだ終末の戦士たち。カラ騒ぎに終わった〈ノストラダムスの大予言〉の遊び方として、この設定、無責任に笑わせる。が娯楽作に水をさすのを承知でいえば、やはり彼らに嘘でもいい、人類の救世主になって欲しかった。いくら映画の中でも人類に終末は来そうもないなんて断言できないのが世界の現実。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    最近の邦画では最も主人公の感覚を我が事のように感じた映画だった。私はノストラダムス大予言の1999年を二十代半ばで迎える生まれ年で、ハイティーンくらいまで非常にシリアスに、血尿が出るくらいにスポーツをやっていたので、原作漫画以上に血肉を与えられた実写版勝平=伊藤英明ら終末の戦士の力みかえりや俗世が軟派に見える感覚が懐かしかった。終末や悪がない世界でヒーロー(かぶれのガキ)はどうする?という、少年漫画的世界観の終末と、そこからの再誕という主題も。

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