エル プラネタの映画専門家レビュー一覧

エル プラネタ

注目の新鋭アーティスト、アマリア・ウルマンが主演&脚本兼任で長編初監督を務めたオフビートなコメディ。スペインのヒホン。学生生活を終え、ロンドンから戻ったレオは、立ち退きを迫られた母と共に、巧みなハッタリを駆使して分不相応な生活を送るが……。アマリア・ウルマンの母、アレ・ウルマンが主人公の母親役で出演。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    自らが育った街を舞台に、クセの強い毒親と娘が織りなすSNS時代の「グレイ・ガーデンズ」といった趣の物語を、自伝的要素を盛り込み、階級の主題を強調しつつ実母と自らで演じる。こうしたアートしては実に気の利いたコンセプトに加え、ゼブラ柄のセットアップなど自身が担当した衣裳にも目を奪われたが、その一方で八〇分強しかない時間が非常に退屈に感じられてしまったのは、そもそも集中して最初から最後まで作品を通して観るような鑑賞態度が想定されていないからだろうか。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    お金も仕事もなくても微塵も気にせず、好きなものを着て、自由に遊びに繰り出す愉悦さを体現し続け、最後まで自らの行いを反省しない母娘が素晴らしい。そして極めて現代的な貧困母娘のセルフィー生活を過剰にキラキラさせすぎない(画面もモノクロである)演出もリアルさに一役買っている。ゴダールやグレタ・ガーウィグなどと比較する向きもあるようだが、ニュース映像の挿入の仕方、つまりは社会情勢との関わり合いを含めてアキ・カウリスマキの「マッチ工場の少女」を想起した。

  • 文筆業

    八幡橙

    「女と男のいる舗道」を思わせるカフェでのシーンに始まり、アマリア・ウルマンの突飛なファッションや表情、冷蔵庫で人を呪う(!)風変りな“ママ”との貧しくも楽し気な暮らしぶりなど、目を引く部分は多々あれど、一つもまともに捉え切ることなくすべてがふわっと流されてゆく。日常をつぎはぐ、お洒落なパッチワーク。それこそが狙いであり、今の時代らしい空気なのかもしれないが、いかんせん縫い目が緩すぎてインパクトのある一枚の作品としての完成には至らず。次作に期待。

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