マトリックス レザレクションズの映画専門家レビュー一覧

マトリックス レザレクションズ

現実だと思っている世界がコンピュータにより作り出された仮想世界=マトリックスであることを知った男の人類を解放させる戦いを描いたSFアクション「マトリックス」の新章。「マトリックス」三部作を手がけた一人、ラナ・ウォシャウスキーがメガホンを取る。主人公ネオ役のキアヌ・リーブスやトリニティー役のキャリー=アン・モスらが続投。「キャンディマン」(2021)のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が新たにモーフィアスを演じ、ドラマ『Marvel アイアン・フィスト』のジェシカ・ヘンウィック、ドラマ『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』のニール・パトリック・ハリスらが新たに参加する。
  • 映画評論家

    上島春彦

    前シリーズに引き続きジェファーソン・エアプレインのナンバーが効果的。キャラの中にホワイト・ラビットのタトゥーの人もいる。この映画を評価するかどうかは、方法論として使われる「世界への自己言及とデジャ・ヴュ(既視感)」をストレートに楽しめるか否かにあろう。差異と反復、などと言いたくないが同じ話(のヴァリエーション)をまたやってる、とは言える。システム破壊を運命づけられた美少女が実はシステム構築者の娘、という物語は有名な他のシリーズ映画から来ている。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    トランス・シネマとして位置付けられ、クィア・リーディングのテクストとしても映画史において重要な価値を担うシリーズの最新作にあって、やはり「すでに決められていること」と「自分で選ぶこと」といった選択可能性の問題系が引き続き顕在化している。「速さ」を意識した画面構築と、繰り返される「飛翔」の運動を武器に、このラストは次作への観客の期待を高める効果と同時に、オルタナティブな「現実」へと私たちを字義通りの意味で「引き上げてくれる」ものとして提示される。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    今やアクションのキレでは「ジョン・ウィック」に、ハッタリのかまし方ではノーランの諸作に大きく水をあけられた「マトリックス」だが、実に18年ぶりの続篇は引退した名レスラーの復帰戦を見るようなワクワク感と哀愁が横溢していて、日頃ノスタルジア・アレルギーの筆者もまったく嫌いにはなれなかった。今でもキアヌ・リーヴスとキャリー=アン・モスが向き合うと、そこには映画が立ち上がるのだ。なんやかんやあっても結局世界を救うのは運命の愛なのだと信じたくなるほどに。

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