余命10年の映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
中学時代は顔も名前も覚えてもらえず、再会してから数年経っても手さえ繋いでもらえず、映画が始まって1時間以上過ぎても付き合ってもらえない主人公の相手役の境遇に深く同情した。ということは、自分なりにこのメロドラマにどっぷり入り込んだということ。映画好きからは揶揄されがちな「難病もの」だが、これほど欠点らしい欠点のない同ジャンルの邦画は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」以来。テレビ作品含めこのところ乱発気味の藤井道人だが、本作が最も優れているのでは?
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映画評論家
北川れい子
情感たっぷりの映像。映像に寄り添う優しい音楽。愛し合う2人の晴れやかな笑顔。でも彼女の命の持ち時間は残り僅か。これで泣かなきゃ鬼、畜生。おっと、いくらタイトルで告知しているからといって、実話べースの話をふざけてごめんなさい。硬派の藤井監督の、裏のない落ち着いた演出はかなりクールで、難病を格別に特化せず、いま生きているその時間ごとのエピソードで繋いでいくが、そのせいか観終わっての後味が湿っぽくないのは大したもので、家族のキャラも面白い。
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