ライダーズ・オブ・ジャスティスの映画専門家レビュー一覧

ライダーズ・オブ・ジャスティス

「メン&チキン」のアナス・トマス・イェンセン監督とマッツ・ミケルセンが5度目のタッグを組んだ北欧アクション。列車事故で妻を亡くした軍人のマークスは、事故はある犯罪組織が殺人事件の証人を暗殺するために仕組んだ事件だと聞き、復讐に身を投じる。マッツ・ミケルセンが復讐の炎を燃やす軍人マークスに、事故は仕組まれたものと主張する数学者のオットーを「特捜部Q」シリーズのニコライ・リー・コースが演じる。第37回ロバート賞(デンマーク・アカデミー賞)にて主演女優賞、助演男優賞、作曲賞、視覚効果賞の4冠に輝いた。
  • 映画評論家

    上島春彦

    陰惨な、笑えない喜劇というジャンルは存在するから、出来が良ければOKなのだが、陰惨なだけで喜劇として成立していないのでは評価しようがない。特に不快なのは、苦しむのが善人である主人公集団で、極悪人は最後まで平然と悪逆非道を貫くこと。こういう映画を鑑賞すると、世間の皆様は暴力映画に慣れ過ぎてしまったのではないか、と考えずにいられない。信仰は何の助けにもならないが心理療法士なら残された者の傷ついた心を癒してくれる、という物語の含意も納得できない。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    マッツ・ミケルセンの前作「アナザーラウンド」も本作と同じく中年男性の集団による物語であり、「アナザーラウンド」ではミケルセンファンへの目配せも随所に感じられもしたが、今回は彼の硬派な演技自体への真摯なアプローチが見受けられる。一つの突発的な事件を主軸とした偶然と必然、生と死などの哲学的なテーマ自体は珍しくないが、「盗まれた無人の自転車の静止」と「少女が運転する自転車の回転」というオープニングとラストシーンの自転車を用いた反復による構成が美しい。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    ドウェイン・ジョンソンと見間違えるほどいかつくパンプアップされたマッツ・ミケルセンはそれだけでも見る価値があるし、弱い者たちの居並ぶ疑似家族や因果律からの逃避、いわゆるな復讐劇の否定など、試みとしては面白い要素がならんでいる。ただ、やりたいことを詰め込みすぎて結果として何が言いたいのかよくわからなくなるという、監督主導映画が陥りがちな隘路にはまってしまっている。このマッツ・ミケルセンをカメラが静かに追っていればそれでよかったのでは。

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