スペンサー ダイアナの決意の映画専門家レビュー一覧

スペンサー ダイアナの決意

「トワイライト」シリーズ、「チャーリーズ・エンジェル」のクリステン・スチュワートがダイアナ元皇太子妃を演じ、1991年の サンドリンガム・ハウスにおいて、チャールズ皇太子との離婚を決意するクリスマス休暇の3日間を描く。「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ララインが監督を務め、鋭い洞察力と確かな手腕でダイアナの孤独と苦しみを浮き彫りにする。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ダイアナがいかれてる。行事は全部遅刻する。トイレで吐きまくる。旦那を睨みつける。苛立って周りに不満をぶつける。好きになれないキャラクターだ。自由にできない場所にいるんだからしょーがないでしょとツッコミを入れる。一人ぼっちで、何とか耐えようと小さな抵抗を続けるダイアナの孤独。もっともっと乱暴になればいいのにと思ってしまう。子ども達といるときだけ、彼女はのびのびと明るい。唯一味方になる女の人が、いきなり告白して、びっくりするダイアナが可愛かった。

  • 文筆家/俳優

    唾蓮みどり

    ポスタービジュアルから非常に気になっていた作品。これまでパブロ・ラライン監督作品における批評性に惹きつけられ、驚かされてきた。クリステン・スチュワート演じるダイアナの潤んで少し充血した瞳など、生身の生きた女性の姿に胸が締め付けられる。一方で、他の王室の人間たちのまるで幽霊のような気味の悪さときたら。異質な存在であるダイアナが「おかしい」とされるものの、見ていておかしいのはどちらか。人間でいるために闘うダイアナは美しい。ラストシーンも必見。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    クリスマス。衣裳も小道具もすべてが決められた食事会。夫曰く「決められたことを決められた通りの順番で行うこと」。つまりこれは演劇である。だが、緞帳は重く閉じられたままだ。ダイアナはそんな観客のいない舞台で演じられるお芝居に耐えられないわけだ。しかし、演劇空間を設定し、そこに「影響下の女」を配置する趣向は理解できるが、「こわれゆく女」(74)や「オープニング・ナイト」(77)とはやはり別物の赴き。カサヴェテスは何を成し遂げたのか。改めて考えている。

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