ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海の映画専門家レビュー一覧

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海

1937年の上海を舞台に、時代に翻弄される男女の抗争を日中キャストで描くクライムサスペンス。有力なマフィアのルーは、日本の実業家から共同銀行設立を持ち掛けられる。ルーの妹の夫で良き参謀でもある日本人ワタベは、日本との取引は危険だと忠告する。出演は、「狙った恋の落とし方。」のグォ・ヨウ、「グランド・マスター」のチャン・ツィイー、「沈黙 サイレンス」の浅野忠信。監督・脚本は、中国映画界の俊英チェン・アル。第31回中国金鶏獎最優秀美術賞、第14回中国長春映画祭最優秀若手女優賞、第9回マカオ国際映画祭最優秀男優賞、最優秀女優賞、最優秀新人賞、第8回中国映画監督協会年度監督賞受賞。シネマート新宿/心斎橋『のむコレ’21』で上映。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    浅野忠信が喋っている中国語は、多分吹き替えだと思うんだけど、日本語を喋ってる時と声が違うので、変な感じだった。やたら人が殺される。残酷描写は迫力がある。でも理由が今一わからなくて置いてけぼりにされる。人物関係が飲み込めていないからかもしれない。チャン・ツィイーがエロくて良かった。エロと暴力はたっぷりある。何が足りないのか? 浅野忠信の子どもが殺されるのもよくわかんなかった。わからなくても面白い映画はたくさんあるけど、これはわからなくて困った。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    とにかく、すごく長く感じてしまった。人がバンバン死ぬわりには全てが淡々としていて、マフィアの裏切りと愛憎の割には緩急がない。ちっとも官能的ではない浅野忠信とチャン・ツィイーのラブシーンなんかもあるのだけど、正直観ているのが辛かった。どの登場人物にも心を奪われたり、はっとさせられたりする瞬間がなかった。キャストを含め豪華なのかもしれないが、この映画からはなぜか華を感じない。「MINAMATA」の浅野忠信がよかったのでよりそう感じたのかもしれない。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    まあ、この邦題です。もっとむせかえるような濃厚なドラマを期待してしまう。だから、ちょっと拍子抜け。ジャンプカットの多用とか真上とか真正面とかシンメトリカルな構図っていうのか、スタイルのためのスタイルばかりで、ドラマはむしろ解体されていて。前半のピースをわざと欠けさせたような画面連鎖や場面構成は、後半のパズル的な作劇の展開に利用されないと釈然としない。ただ繰り返すんじゃなく。個人的な趣味でいうなら、もっとキッチュであってほしかった、かな。

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