ずっと独身でいるつもり?の映画専門家レビュー一覧

ずっと独身でいるつもり?

流行語ともなった「こじらせ女子」の生みの親、雨宮まみの同名エッセイを、おかざき真理が漫画にした人気コミックが原作。田中みな実が初主演を飾り、現代女性が抱える不安や寂しさ、希望が描かれる。監督は「おいしい家族」「君が世界のはじまり」の新鋭ふくだももこ。作家としてやりがいのある仕事や暮らしに充足感を得ながらも、周囲の雑音に傷ついて揺れる30代の独身女性の主人公まみを田中みな実、まみのエッセイの愛読者であり、独身に誇りをもつ由紀乃役に市川実和子、映画のオリジナルで若さを失うことに怯える美穂役に元・乃木坂46の松村沙友理、暮らしのインスタグラマーとして人気の彩佳役に徳永えり。さまざまな境遇の女性たちが「幸せ」を探す姿が、現在を生き抜く人たちの共感を呼ぶ。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    昔書いた脚本を「これはドラマではなくスケッチ」とプロデューサーに一蹴されたことがある。本作にはそう言ってくれる人はいなかったのか。薄っぺらな女たちとさらに薄っぺらな男たち。いつかどこかで見たような人物とエピソードのコラージュ。いくら孤独だからって、あんな男と結婚しないでしょ。話を進めるため、最後に啖呵を切らせるためのバカな選択。他の人物然り。この程度で刺さる人がいるのか。「あのこは貴族」はオジサンにも刺さったけど。消費される監督にならないで。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    ろくでもない男しかでてこないのだが、そんな男たちとずるずるつきあっている女たちを見ているのもつらい。36歳の売れっ子女性ライターの揺れる気持ちに寄り添ったということなのだろうが、ここまでふらふらと周囲に流され、意志が弱いということに、逆にリアリティーがない。SNSとセレブな東京のイメージの中に浮遊している女たちということなのだろうが、ここまでヤワではないんじゃないか? 登場人物一人一人の芯の弱さが、葛藤の弱さとなり、映画の弱さとなっている。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    かつて自立した女性を賛美するベストセラーを放つも、以降は代表作を書けないヒロイン。彼女の苦難の十年間が窺い知れず、ここにきての転向が、アラフォーという設定のみに直結した皮相なものに映るため、明白な選択ミスを経た復活劇にも、何か実感が伴わない。一発屋、おひとりさま、パパ活女子など、やたらと括りたがる世間からの解放を志す女性たちの物語のはずが、“ずっと”の解釈は緩めに、孤独をマイナスに捉える一面的な認識が見え隠れするのも気になった。

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