牛首村の映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
清水崇監督は「犬鳴村」で掘り当てた鉱脈を、Jホラーのパイオニアとしての再生産の場ではなく、トライ&エラーが許された場と位置付けているのだろう。まるで赤川次郎原作の往年の角川映画のような前半は、K?ki,というフレッシュな素材の魅力も相まってワクワクさせる。「エレベーターの急下降」という反復されるイメージも効果的。しかし、物語のまとめに入ってからの失速感は否めず、描写はともかく物語が全然怖くないことでジャンル映画としての信頼を損なってしまっている。
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映画評論家
北川れい子
〈恐怖の村〉シリーズの中では一番出来がいい。いまやこのシリーズ自体が心霊スポット並み、そういう意味でもしっかりファンの期待通りに展開する。その伝説はともかく、牛の首という大仰なお膳立ても気を惹くものがある。ま、蓋を開ければ寒村の前近代的な因習による悲劇ということなのだが、何組ものダブった人物が無言で立っている映像など効果的。初登場で一人二役のK?ki,も、ほとんど笑顔を見せずにキャラを演じ分け、悪くない。穴蔵のシーンのセットが安っぽいのがご愛嬌。
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映画文筆系フリーライター
千浦僚
73年版の「ウィッカーマン」みたいなもの(あと「2000人の狂人」とか)とスティーブン・キング『IT』が全然違和感なく融合されて日本に移植された面白さゆえに、怖さの出る幕があまりないという変則ホラーだが、そもそも自分のダブルを救いに行く、というところで恐怖は越えるべき障害として予感され、勇気、冒険、愛が透かし見えたわけで。そして、うん、観たなあ、という満足感があった。双子産みは畜生腹と言うてなぁ?、を言うためだけのような麿赤兒氏起用も良かった。
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