CUBE 一度入ったら、最後の映画専門家レビュー一覧

CUBE 一度入ったら、最後

ヴィンチェンゾ・ナタリの大ヒットサスペンスを、豪華キャストでリメイクした日本版。突然、謎の立方体に閉じ込められた6人の男女。お互いに何の接点もなく、職業もバラバラ。理由もわからぬまま、脱出を試みる彼らに、次々と殺人トラップが襲い掛かる。出演は「花束みたいな恋をした」の菅田将暉、「オケ老人!」の杏、「さんかく窓の外側は夜」の岡田将生、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』の田代輝、「騙し絵の牙」の斎藤工、「孤狼の血 LEVEL2」の吉田鋼太郎。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    なぜ24年も前の映画をリメイクしようと思ったのか。密室で性善説と性悪説が混沌とし、良きリーダーに見えた黒人警官が白人たちの支配者と化すパワーバランスの変化がオリジナルのキモなはず。それを凌駕するテーマも新しい切り口があるワケでもない。オリジナルより17分長く、緊張感も不気味さもドラマも17分の1。錚々たる役者、何の勝算があって出たのか。本作に関わった人たち、これを面白いと思ったの? 誰も何も言わなかったの? 映画愛を疑う。全員戦犯、CUBEに閉じ込めたい。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    ある日突然、謎の空間に閉じ込められた人々の不条理劇。殺伐とした生き残りゲームであった一昔前の「GANTZ」に比べれば、脱出を目指す集団行動を通して、隠れていた個々の人物像が次第に顕わになっていくという、古典的な脱出劇のような妙味はある。そこに経済格差や世代間対立のような社会的なテーマが隠し味としてふりかけてもある。ただ、そんな古典性、社会性がこの映画を凡庸なものにしている。結果としてどの人物もステレオタイプで、深みを感じられないのだ。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    なぜ今、「CUBE」の日本版リメイクなのか。オリジナル版独特のトーンとともに形成された、普遍性を内包する観念的な世界観を、経済格差や世代間ギャップなど、日本の現代社会が直面する課題も照らし合わせ、より具体的に探究しようと試みる製作陣の熱意は伝わる。とはいえ、様々なトラウマと闘いつつ、閉じ込められた“CUBE”の謎に挑む老若男女の人物像に未消化さが残る分、その内面や背景に深く踏み込もうとするほど、話がリアルさから逸脱していく歯がゆさも感じられた。

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