ロボット修理人のAi(愛)の映画専門家レビュー一覧

ロボット修理人のAi(愛)

実在のロボット修理人をモデルに、ロボット修理の少年が過去と向き合う姿を描くドラマ。16歳の倫太郎は天才的な技能を駆使し、古い家電やロボットの修理を請け負う工房で働いている。ある日、東京の老婦人から亡き息子が遺したAIBOの修理を依頼される。出演は、「ロック わんこの島」の土師野隆之介、新人の緒川佳波。監督は、「ムーランルージュの青春」の田中じゅうこう。主演の土師野が2020ドゥルク国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞。
  • 映画評論家

    北川れい子

    かなり大胆な設定の怪談ふう因縁話で、ペットロボットが狂言回し的な役を担っているのがミソ。舞台となっている榛名湖に〈甦りの女神〉が棲むという伝説があり、湖畔や森の映像はそれなりに美しい。けれども器用でいくつもの仕事を掛け持ちしている主人公少年の周辺エピソ-ドが不必要にゲスっぽいのと、説明台詞が目立って多いのが興を削ぐ。榛名湖伝説を伏線にした少女の登場も、後付けの説明台詞で処理されている。奇跡にも背景は必要だが、説明ではない演出が欲しかった。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    主演・土師野隆之介の表情、そのあざとさのない喜怒哀楽の変化に引き込まれた。彼をとりまくひとびとの描写は時に冗長にも感じられるが、豊かな実在感のあるセリフといい、一人ひとりを生きた人間として描こうとする田中監督の実直さゆえと大目に見たい。本吉修の撮影、自然描写は文句なしに素晴らしいものの、屋内のさりげない対話シーンにもう少し工夫がほしいところ。なにより近年の日本映画では珍しく、音楽が適切に盛り上がり、適切に抑制されている点に感心した。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    モデルや実際の事件に取材した部分をもつ話の進む方向が、いわばシナリオ教室的ルールを無視しているようで、筋とは別なハラハラがあり、編集や音楽の入れ方に粗さもある。とはいえ、そんなことを欠点としないような、技巧やクオリティー信仰に足をとられない田中監督の家内工業的情熱に拍手したい。16歳の主人公倫太郎の造型が最高。能力の高い「いい子」。演じる土師野隆之介は、どの作業服を着てもよく似合う。そしてみなさん、大空??弓さんがさすがという感じで出てますよ!

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