リスタートの映画専門家レビュー一覧

リスタート

「Zアイランド」など映画監督としても活躍する品川庄司の品川ヒロシによる青春ドラマ。シンガーソングライターを夢見て北海道下川町から上京した未央は、スキャンダルに夢破れて傷つき、故郷に帰る。そんな彼女を同級生や家族、自然豊かな景色が癒していく。出演は、男女フォークデュオ・HONEBONEのボーカルを務めるEMILY、劇団EXILEの一員として俳優活動を行うDOBERMAN INFINITYのSWAY。第13回沖縄国際映画祭特別招待作品。
  • フリーライター

    須永貴子

    シンガー・ソングライターを目指して18歳で上京した主人公が、28歳で地下アイドルをやっている心情と事情が理解できない。上京して5年後(23歳)の設定なら「若気の至り」で成立するが、この主演俳優では無理がある。彼女の才能や魅力を活かしたいなら違う脚本を、この脚本で撮りたいなら違う俳優で撮るべきだった。思い返せば、演者の年齢とキャラクター、そして脚本との齟齬は、初監督作から見受けられた。監督の武器であるキャスティング力が、作品の足を引っ張っている。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    まっすぐで太い。飾り気のない直球勝負。都会で傷ついた女性が、生まれ育った田舎の町に戻り、心を洗われ再出発を誓う。お馴染みの構図、見慣れた展開。「パターンだ」「ありきたりだ」と人は言うかもしれないが、大いにけっこう。真面目で純粋。それがこの映画に一貫して流れている大切な心情である。姑息なパフォーマンスをして、何か作った気になっているような映画が多い中、この直球は頼もしく、嬉しい。脚本・監督の品川さんがいかに映画を愛しているかがわかった気がした。

  • 映画評論家

    吉田広明

    タイトル前の回想場面の横移動、どんでん、ドローン撮影に意味はあるのだろうか。失意のヒロインが帰郷し、同級生との飲み会で飲みすぎ、地元のおっさんに絡まれて吐くと、いかにも弱キャラの同級生二人、絡んでいたおっさんまで釣られて吐く。この貰いゲロの連鎖も、俯瞰の長回しという一歩引いた画角ではなく、いきなり吐き始める人間をカット割りで次々と捉えることで可笑しさが演出できたはずだ。物語も人物設定も紋切り型で閉口な上、演出がこれでいいのか見ている間疑問が絶えず。

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