科捜研の女 劇場版の映画専門家レビュー一覧

科捜研の女 劇場版

科学を武器に、様々な凶悪犯罪に立ち向かう法医研究員を沢口靖子が演じる1999年開始の連続TVシリーズ、初の劇場版。世界同時多発的な不審死事件が勃発するなか、現代最新科学では絶対に解けないトリックを操るシリーズ史上最強の敵がマリコの前に立ちはだかる。若村麻由美、風間トオル、斉藤暁、渡部秀、山本ひかる、石井一彰、西田健、金田明夫、内藤剛志といったTV版レギュラー陣が集結。監督はTVシリーズを手がけてきた兼﨑涼介。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    21世紀に入ってからも存続している東映京都撮影所において、1999年から20年以上コンスタントに制作されてきたこのテレビドラマの果たした役割は大きかったに違いない。まるで楽屋落ちのようにそれを誇示するクライマックスの一連のシーンに、満を持しての映画化である本企画のエッセンスが詰まっている。もっとも、それ以外のシーンでは科学捜査という静的な題材と映画的スペクタクルの相性の悪さがどうしても露呈していて、「ドラマファンへのサービス」の域は脱していない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    このドラマシリーズは99年にスタートしたそうだが、実は私はこの劇場版がシリーズとの初対面。むろん噂ぐらいは聞いていたが。だから不可解な事件や犯罪に挑む科捜研の活躍、大いに期待したのだが、劇場版ということで気張ったのか、事件が大袈裟すぎていささかシラケる。科学者が科学者を実験台にしたような奇妙な犯罪。足で稼ぐ刑事ものと違って、みんな突っ立ったまま専門用語を口にするのはシリーズの特徴なのだろうが、これも何だか。終盤の沢口靖子の華麗な見せ場には感心。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    骨子としては「リング」を思わせる呪いの如き同時多発死と、それが主人公に迫ったときに展開する、コナン・ドイルのホームズものでも印象的な一篇「瀕死の探偵」に通じるネタ。本作が一種の警察もの刑事ものであることは、「ダーティハリー」「クワイヤボーイズ」「リーサル・ウェポン」に通じる主題“飛び降り”から規定されるだろう。それに関して本作の沢口靖子はほとんどメル・ギブソンだ。京都に映画撮影所があってよかった、という台詞には、まあそうですかねえと思う。

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