クローブヒッチ・キラーの映画専門家レビュー一覧

クローブヒッチ・キラー

「荒野にて」で注目の新星チャーリー・プラマー主演のミステリー。16才の少年タイラーはある日、父ドンの小屋で不審な写真を発見。10年前の未解決事件“巻き結び連続殺人事件”の犯人ではないかと疑惑を抱き、少女カッシと共に真相究明に挑むが……。共演は「サバイバー」のディラン・マクダーモット、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のマディセン・ベイティ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    多くのサイコキラーサスペンスは、犯人を謎の人物としておどろおどろしく描きがちだが、本作は快楽殺人のどの部分に犯人が性的欲求を抱くのか、あくまで一例ではあるものの、“殺人犯の身になって”考えられている点で優れているし、劇中で犯人を演じる、ある俳優の気味の悪い演技は賞を与えたいほど真に迫っている。そこまで異常な描写がある一方、少年少女を主人公としたジュブナイル映画としての部分は月並み。娯楽的な枠組みから外れた方が、より話題になったのではないだろうか。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    父親をシリアルキラーではないかと疑った高校生の息子。父親への疑念が主題のスリラーだが、理解ある父親と巣立ちを始めた思春期の息子との対立話の様相。信頼が揺らぎ、疑念が確信となる過程の、中盤以降の展開は隙があり平板に。さらに終盤のクライマックスに至り、すんでのところで命拾いをした女性はなぜ警察に通報しないのか。モヤつくままに結末に至り、結着のさせ方にも仰天。息子役のC・プラマーのアイドル性は狙い通りかもしれないが、この結着の意図は判然としない。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    物語は実に猟奇的、変態的であるのに、音楽は最小限、無駄を削いだ落ち着いたカッティングでごく普通のホームドラマのごとき情調で淡泊に進んでゆき、ミスリードかと思ったものがそのままの真相であったり、実直に伏線を摘み取ってゆく柔らかな手つきもホラー、サスペンス映画としてはどこか異質で、それらを敢えてやっているというアート映画的なあざとさすらも感じさせないこの映画の佇まいは、狂気と日常が地続きになっている猟奇殺人者の凪いだ心情そのもののようで、恐ろしい。

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