西成ゴローの四億円の映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
「ひとくず」は児童虐待という重いテーマとベタや泥臭さや安っぽさが妙にマッチして泣かせる映画になっていた。しかしその後の「ねばぎば新世界」や本作はいただけない。エンタメを目指した途端に安さだけが際立つ。画の安さはまだ仕方ないが、お話の安さはどうにもならない。「ベイビーわるきゅーれ」の時代にあの程度のアクション見せて満足なのか。上西さん、安上がりに慣れちゃダメですよ。自分だけ気持ちいいのも。これじゃすぐ飽きられちゃう。嗚呼、こうやってまた友達を失くす。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
しがなく、しょぼくれ、過去のトラウマにさいなまれている男だが、なぜかケンカはめっぽう強い。上西雄大はそういう役によくはまる。そんないかにも上西的な主人公が大阪・西成で大暴れする活劇。諜報機関の工作員時代の記憶を失い、日雇い労働者となっている男が、難病の娘の手術費用を稼ぐために、アンダーグラウンドの面々と対決する。奥山和由プロデューサーと組んだこの作品は、闇仕事のたびに金銭の出入りをテロップで強調するが、ドライというよりコテコテの犯罪映画。
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映画評論家
服部香穂里
かのジェイソン・ボーンのごとき謎だらけのタフガイが、過去を問うだけ野暮なワケありの人びとの溜まり場でもある大阪・西成に流れ着いたら? そんな奇想天外なアイデアを導入部に、存在するもの全てに値段が付けられた、いびつな現代社会の暗部をも炙り出さんとする意欲は買い。敵か味方か判別できぬ同僚・津田寛治との心震える波乱の?末や、ザビエル頭の誇り高き殺し屋・加藤雅也を筆頭に強烈なキャラクターが暴走する“死闘篇”への助走として、やや控えめな印象の序章。
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