グリーンランド 地球最後の2日間の映画専門家レビュー一覧

グリーンランド 地球最後の2日間

「エンド・オブ・ステイツ」のリック・ローマン・ウォー監督が、ジェラルド・バトラーと再タッグを組んだディザスター・アクション。彗星の破片が隕石となり地球に衝突した。更なる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間、ギャリティ一家は生き残る道を模索する。共演は「デッドプール」のモリーナ・バッカリン、「ライトスタッフ」のスコット・グレン。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    最初の30分が面白くてラストにカタルシスがあればディザスター映画としては合格だが、そういう意味で本作は文句なし。コストの低下によってインフレ化した過剰なCG描写が増えている昨今、日常風景における「彗星の接近」を描いた抑制の効いたCGの使い方のセンスもいい。「Fallen」シリーズでは監督として途中参加(『エンド・オブ・ステイツ』)だったリック・ローマン・ウォーだが、ジェラルド・バトラーとのタッグで今後も同ジャンルの作品を量産していく予感。

  • ライター

    石村加奈

    最初から最後まで、イヤな選別が繰り返されてゆく。地球再建に役立つ能力の有無、安全なシェルターまで家族を運び込むことのできる配偶者/親としての実力の有無……観ているうちに憂鬱な気分になった。「大統領アラート」が象徴する選民意識も鼻持ちならぬが、世界崩壊目前の非常事態下で、圧倒的な腕力と決断力を誇る夫の浮気をチャラにして、幸せな家族の記憶にうっとりできる妻の選択は、息子と共に生き延びるため、背に腹はかえられないとはいえ、それを愛と言われてもなあと。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    心が離れている「普通の一家」が突然地球規模の危機に瀕することで再び絆を取り戻す2日間の物語、というプロットはスピルバーグの「宇宙戦争」を彷彿とさせるが、そのトム・クルーズと同じく、これまでのイメージを逆手に取った市井の人を演じるジェラルド・バトラーの抑えた演技が良い。生きるか死ぬかの状況はときに倫理観を試されるが、本作は、その連続を描くことで、常に揺れるそれぞれの曖昧な善と悪を浮き彫りにする。規模は違うが、現実の今の状況を重ねて観てしまった。

1 - 3件表示/全3件